EU、ロシア産ガスの2027年全面停止を最終承認―ハンガリーは「欧州裁判所への提訴」で徹底抗戦へ

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欧州連合(EU)は26日、ロシア産天然ガスの輸入を2027年末までに停止する措置を最終承認しました。

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1. EUによる「脱ロシア産ガス」の最終合意

2022年のロシアによるウクライナ侵攻以来、EUが掲げてきた「REPowerEU」計画が法的に義務付けられることとなりました。

段階的停止のスケジュール:

  • 2026年末まで: ロシア産液化天然ガス(LNG)の輸入を全面停止。
  • 2027年9月30日まで: パイプライン経由のガス輸入を完全停止(一部、貯蔵状況により同年11月1日まで延長可能)。

強制力と罰則:

新規契約は禁止され、既存の長期契約も期限までに破棄する必要があります。違反した企業には、世界年間売上高の最大3.5%などの巨額の罰金が科される厳しい内容です。

2. ハンガリー・スロバキアの反発と法的対抗

今回の承認は、全会一致ではなく「強化された特定多数決」によって決定されました。これにより、根強く反対していた一部諸国の反対を押し切る形となっています。

反対国: ハンガリー、スロバキア(ブルガリアは棄権)

ハンガリーの主張: シヤルト外相は、この決定を「ブリュッセルによる独裁(diktat)」と非難。内陸国でありロシアへの依存度が高い同国にとって、ロシア産なしではエネルギー供給が「物理的に不可能」であり、家計の光熱費が3倍に跳ね上がると主張しています。

司法の場へ: ハンガリー政府は、この規制がEU基本条約(各国のエネルギー構成の決定権)に違反するとして、欧州司法裁判所(ECJ)に提訴する方針を固めています。

3. 「エネルギー主権」に落とす影と供給不足のリスク

EUが目指す「エネルギー主権(他国に依存せず自国のエネルギーを制御する権利)」は、今回の決定で大きな試練に直面しています。

代替供給源の確保: かつてEUのガス需要の40%以上を占めたロシア産は、2025年時点で約13%まで低下しましたが、残りの埋め合わせは容易ではありません。ノルウェーや米国産LNGへの依存が強まっており、「ロシア依存から別国への依存へ移っただけではないか」という批判もあります。

インフラの制約: 西欧のLNGターミナルから、ハンガリーなどの内陸部へガスを送るパイプラインの容量不足が課題となっています。

価格高騰の懸念: 市場では供給不足への不安から価格が不安定になっており、欧州の産業競争力を削ぐ要因となっています。