米国、パリ協定から離脱

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米国は27日、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から正式に離脱しました。

トランプ大統領は2025年1月の就任初日に離脱を通告する行政命令に署名しており、国連の規定に基づく1年の待機期間を経て、本日正式に効力が発生した形です。これにより、米国は世界で唯一、同協定から二度離脱した国となりました。

今回の離脱はパリ協定にとどまりません。トランプ政権は2026年1月初旬、パリ協定の母体である「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)」や、科学的知見を提供する「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」を含む60以上の国際組織・条約からも離脱する覚書を提出しています。これにより、米国は世界の気候変動統治(ガバナンス)から全面的に撤退する姿勢を鮮明にしました。

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国内エネルギー政策の優先と「アメリカ第一主義」の加速

トランプ政権は離脱の理由として、温暖化対策が米国の経済成長を妨げ、多額の血税を「グローバリストの議題」に浪費していると主張しています。

具体的には、化石燃料(石油・天然ガス・石炭)の増産を最優先し、規制緩和を通じてエネルギー価格を抑制することで、製造業の復活やインフレ対策につなげる「アメリカ第一主義」の経済政策を加速させる方針です。ホワイトハウスの広報官は、「大統領のおかげで、米国は価値観と優先事項を損なう協定から正式に脱出した」との声明を出しています。

国際社会への影響と「空白」をめぐる攻防

世界第2位の温室効果ガス排出国である米国の離脱は、世界の脱炭素化に向けた資金協力や技術移転に大きな打撃を与えます。特に、途上国支援のための気候資金提供が停止されることで、パリ協定の目標達成がこれまで以上に困難になると懸念されています。

一方で、米国の不在に乗じて中国や欧州(EU)がクリーンエネルギー分野での主導権を強める動きも見られます。実体経済においては、再エネコストの低下やAIデータセンターの電力需要増に対応するための低炭素電源の必要性は依然として高く、米国内の一部の州や企業は独自に脱炭素目標を維持する姿勢を見せています。