【続報】米国エネルギー省、石炭産業の再興を宣言。どうなる石炭火力発電?

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【続報】米国エネルギー省(DOE)は15日、石炭産業を米国の「エネルギー支配(Energy Dominance)」の中核として再定義する包括的な方針を盛り込んだファクトシートを公開しました。

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米国メディアやSNSでは、気候変動問題に逆行する動きとして大きな議論を呼んでいます。

以下、その内容をサマリーします。

石炭による供給信頼度確保

トランプ政権は、米国のエネルギー支配を実現する上で石炭が果たす役割を改めて確認している。米国エネルギー省は、米国の石炭産業を強化・近代化することで、エネルギー安全保障と電力の供給信頼度を確保する方針を明確にしている。

トランプ大統領の指導の下、エネルギー省は、24時間安定的に稼働可能で、信頼性と経済性を備えた電源として、石炭火力の重要性を強調している。昨年夏には、大統領令「米国の美しくクリーンな石炭産業の再活性化」を受け、クリス・ライト・エネルギー長官が、2021年にバイデン政権下で失効していた国家石炭評議会の憲章を復活させた。

国家石炭評議会の結成

2026年1月15日、国家石炭評議会は初会合を開催した。これに先立ち、委員長にはピーボディ・エナジーのジム・グレック氏、副委員長にはコア・ナチュラル・リソーシズのジミー・ブロック氏が任命された。国家石炭評議会は、石炭技術や市場の将来、そしてエネルギー支配の実現における石炭の役割について、専門的な助言を行う中核的な諮問機関である。委員は、産業界、学界、州政府、部族組織、非政府組織の専門家で構成されている。

石炭セクターの支援

エネルギー省とライト長官は、米国の電力供給を支える上で石炭が不可欠であるとして、その役割の強化に全面的に取り組んでいる。2025年10月29日には、米国製かつ石炭火力を活用した肥料生産を支援するため、インディアナ州ウェストテレホートにおける石炭・アンモニア肥料施設向け融資のクローズを発表した。

約1,000億円規模の財政支出

同年9月29日には、大統領令14241および電力網の信頼性と安全性を強化する大統領令14262に基づき、米国の石炭産業を拡大・再活性化するための6億2500万ドルの支援を発表した。さらに2025年4月8日には、石炭産業の拡大と近代化、新技術の支援を目的とする5つの施策を打ち出し、その中には国家石炭評議会の再設置も含まれている。

追加的低利融資

エネルギー省は、石炭関連エネルギーインフラの更新や多様なプロジェクトを支援するため、低利かつ長期の資金として最大2000億ドルを利用可能とした。2025年5月には、鉄鋼生産に使用される石炭を重要鉱物に指定した。

国立エネルギー技術研究所は、石炭灰から鉱物を抽出し、エネルギー、防衛、製造分野で利用可能な高付加価値材料へ転換する新技術を特許化している。エネルギー省は、国立研究所や新興企業と連携し、石炭灰転換技術の商業化を支援している。

石炭火力による発電容量の確保

トランプ大統領とライト長官は、17ギガワットを超える石炭火力発電容量の維持にも関与してきた。2025年7月7日に公表されたエネルギー省の電力網信頼性報告書では、風力や太陽光といった間欠性電源への過度な依存や、データセンター需要の増加を背景に、石炭火力などの発電所閉鎖が進めば、米国の電力網はその喪失に耐えられないと分析している。

報告書は、現状のままでは持続不可能であり、需要増加と発電所閉鎖が重なることで、2030年には停電リスクが100倍に高まると指摘している。また、2030年までにピーク時供給として追加で100ギガワットが必要になると推計している。2030年までに発表済みの発電所閉鎖は104ギガワットに達する一方、新規発電は209ギガワット導入される想定となっているが、そのうち24時間365日稼働可能な、確実で信頼性のある調整可能電源は22ギガワットにとどまるとしている。

石炭火力発電所の閉鎖阻止

こうした状況を踏まえ、トランプ大統領の指導の下、全米各地で閉鎖予定だった石炭火力発電所が計画を撤回しており、2025年には17ギガワットを超える石炭火力発電容量が維持された。トランプ政権とエネルギー省は、電力網の安定確保と不要な停電防止を目的として、19件の緊急命令を発出し、その中で5つの信頼性の高い石炭火力発電所の閉鎖を阻止している。

2025年12月30日には、コロラド州クレイグにあるクレイグ発電所1号機(446メガワット)を稼働維持するよう、関係事業者に対し緊急命令を発出した。12月23日には、インディアナ州ウォリック郡のF.B.カリー発電所2号機(103.7メガワット)の継続運転を求める緊急命令を発出したほか、同州ウィートフィールドのシャーファー発電所17号機および18号機(各423.5メガワット)についても、稼働可能な状態を維持するよう命じた。

さらに12月16日には、ワシントン州セントラリアのセントラリア発電所2号機(729.9メガワット)を稼働可能な状態に保つよう緊急命令を出した。加えて2025年5月23日、8月20日、11月18日には、ミシガン州のJ.H.キャンベル石炭火力発電所(1560メガワット)の運転期間を延長し、夏季の電力網信頼性を確保するための緊急命令が発出されている。