英オクトパスエナジー、24/7カーボンフリー電力に向けた「Electric Match」を展開、Krakenで小売と再エネ調達を統合

· アワリーマッチング

オクトパスエナジーは、企業向け電力サービスにおける24/7カーボンフリー電力(CFE)の実現に向けた取り組みについて、公式ブログを通じて発表しました。本稿では同社の電力小売ビジネスの拡大、Electric Matchの位置づけ、そして中核となるKrakenの役割についてご紹介します。

同社は英国の電力小売市場において急速にシェアを拡大し、家庭向け電力供給で約23〜24%の市場シェアを占める最大級の事業者となっています。British GasやE.ON、EDF、OVO Energyといった大手が競合する中で、後発ながら顧客基盤を拡大し、欧州各国にも事業展開を進めています。

年次ベースから時間一致へ、電力調達のパラダイム転換

英国の電力市場では30分単位で需給が一致する仕組みが採用されていますが、企業の排出量報告はこれまで年間ベースの証書(EAC)に依存してきました。この乖離により、「いつ・どこで発電された電力か」が十分に反映されないという課題が指摘されています。

こうした中、Climate Groupによる24/7カーボンフリー電力の枠組みや、SBTi、RE100、GHGプロトコルの見直しが進み、時間単位での電力利用と再エネの一致が新たな方向性として示されています。GoogleやVodafone、AstraZenecaといった企業も、24時間365日カーボンフリー電力の実現を掲げています。

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Electric Matchによる時間単位の再エネ供給

オクトパスエナジーは2023年から、法人向けに「Electric Match」を提供しています。このサービスでは、同社が契約する特定の再エネ発電所から供給される電力と、顧客の消費電力を30分単位で照合します。

顧客は年間消費量に見合う再エネ電力を割り当てられ、その発電量と消費量をリアルタイムで比較します。現在のマッチング率は60〜80%程度で、天候や需要パターンによって変動しますが、各キロワット時の電力は発電所単位でトレーサブルとなっています。

また、顧客にはマッチング分析、スコープ2排出量、証書情報などが提供され、時間単位での排出削減効果を確認できる仕組みが整備されています。

Krakenが支える統合型電力プラットフォーム

これらのサービスを支えているのが、同社のエネルギープラットフォーム「Kraken」です。Krakenは顧客管理、料金計算、スマートメーターデータ処理、需給最適化を統合するクラウドシステムであり、小売業務のバックエンドに加え、電力調達と需要データを結びつける機能を持っています。

オクトパスは風力や太陽光などの発電事業者とPPAを締結し、再エネ電源をポートフォリオとして確保しています。このポートフォリオと需要側のデータをKraken上で統合することで、変動する再エネ供給を全体として吸収し、安定的な供給と柔軟な価格設計を実現しています。

Krakenの外販と電力市場への影響

Krakenはオクトパス内部のシステムにとどまらず、外部の電力会社にも提供されています。EDFやE.ONといった欧州の大手ユーティリティに加え、日本では東京ガスが採用しており、数千万規模の顧客アカウントを管理する基盤として拡大しています。

このようにKrakenは、再エネ調達能力を持つ事業者と小売会社を接続する役割も担い、発電ポートフォリオを市場に供給するプラットフォームとして機能しています。従来の電力会社が個別に保有していた機能を統合し、電力市場のデジタル化を進める構造となっています。

グローバル展開と標準化への関与

オクトパスエナジーは、時間粒度の証書標準化を進めるEnergyTag にも参加しており、24/7カーボンフリー電力の国際的な枠組みに関与しています。電力シェアリングも同社とコミュニケーションを行っており、時間一致型電力の実装に向けた情報交換が進められています。

同社は小売、発電、データプラットフォームを統合することで、従来の電力供給モデルから、時間単位で需給を一致させる新たな電力システムへの移行を進めているとしています。