メガソーラーの規模要件見直しへ:環境省・経産省が検討開始。規制から、質の高い再エネへの誘導へ

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環境省と経済産業省は26日、「太陽光発電事業等の環境影響評価に関する検討会」の初会合を開催し、大規模太陽光発電事業(メガソーラー)や風力発電事業の環境影響評価(アセスメント)の対象規模の見直しと実効性強化に向けた検討を開始しました。

1. 太陽光発電における環境アセスメントの現状

太陽光発電事業は、令和2年(2020年)4月から環境影響評価法(以下、法)の対象事業となり、現在の規模要件は以下の通りです。

  • 第一種事業(必ず環境アセスメントを実施):出力 4万kW(40MW)以上
  • 第二種事業(個別にアセス実施の要否を判断):出力 3万kW(30MW)以上 4万kW(40MW)未満

これまでの一種・二種を合わせた法アセス実績は、令和2年度の6件から令和5年度には1件へと減少傾向にありますが、依然として地域トラブルが絶えない現状があります。

2. 現在の課題:地域における懸念と不適切事案の顕在化

太陽光発電の導入が急速に拡大する一方で、自然環境、安全、景観などの面から地域において様々な懸念が生じる事例が相次いでいます。

課題のポイント

①自然環境への影響:森林伐採に伴う土砂災害の発生や、重要な動植物の生息・生育地の消失が問題となっています。

②生活環境への影響:太陽光パネルによる反射光のまぶしさや、パワーコンディショナ等から発生する騒音、景観の悪化が地域住民とのトラブルに発展しています。

③小規模事業での問題発生:新聞報道等の分析によると、現行の法対象規模(3万kW)を下回る事業であっても、環境紛争や反対運動が発生している実態が明らかになっています。

3. 解決に向けた方向性

令和7年(2025年)12月に決定された「大規模太陽光発電事業に関する対策パッケージ」に基づき、不適切な事業には厳格に対応しつつ、地域共生型の事業を促進するための措置が検討されています。

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①環境影響評価の対象の見直し:不適切事案を未然に防ぐため、現行の規模要件(一種4万kW、二種3万kW)をさらに引き下げ、より小規模な事業も法の手続き対象に含めることを検討しています。

②実効性の強化:環境アセスメントに関する審査の厳格化や指導の徹底を図り、制度としての実効性を高めます。

③地方公共団体との連携:法アセスの見直し内容を自治体に周知し、地域の環境影響評価条例とのさらなる連携促進を図ります。

4. 検討会における主な発言と議論のポイント

事務局(環境省・経済産業省)の説明

事務局は、太陽光発電が他の面的開発事業(土地区画整理等)と比べて、「立地場所によって環境影響の程度が大きく左右される」という特殊性があるかどうかを論点として提示しました。

また、100ha相当の出力が最新データでは約35.5MWとなり、技術革新による変化も注視すべきと説明しました。

委員からの主な指摘

特殊性と規模の相関:太陽光発電は土地の面的改変が主な影響要因だが、小規模であっても急傾斜地への設置などはリスクが高い。規模要件の見直しには、こうした立地条件をどう反映するかが重要との意見がありました。

スクリーニング基準の在り方:地域と共生できない事業を抑制するため、二種事業の判定(スクリーニング)基準をどのように強化すべきかが焦点となりました。

効率化:一方で、すでに開発済みの土地(工場跡地等)を活用する場合は、ガイドラインに基づき項目を選定するなど、メリハリのあるアセスメントも継続すべきと議論されました。

5.今後の進め方

座長は、太陽光発電事業の特殊性を踏まえ、他の事業種との整合性を取りながら規模要件の適正な水準を探る必要があると総括しました。今後、数回にわたるヒアリングと議論を経て、次期通常国会までに検討結果を取りまとめる方針です。

会合では、2030年度の導入目標(103.5〜117.6GW)達成に向け、今後年間4.5〜7GWペースでの継続的な導入が必要である一方、適地が減少している厳しい状況も共有されました。

今回の検討会における資料の内容や議論に基づき、今後具体的な政令改正等の手続きが進むことが見込まれます。

当研究所付言:規制も重要だが、ポジティブ格付け制度の導入も検討を

環境アセスメントは不適切な事業を制限する「規制」としての役割を持ちますが、当研究所では、これをさらに一歩進め、環境負荷が低く地域に貢献する事業者を積極的に評価する「ポジティブな格付け」へと繋げるべきだと考えています。

公的機関が再エネの質を客観的に保証することで、質の高い再エネの購入者に安心感を付与し、特にコーポレートPPA等において良質な電力が選ばれ、生き残るような仕組みを検討すべきです。

当社は、令和4年に行われた当時の小泉環境大臣によるヒアリングにおいて、「国が再エネの質を評価・認定すべきである」という提言をさせていただいております。

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再エネをめぐる社会の目線が厳しくなることは、当時から予測されていました。今後も持続可能な再エネの導入を図るためには、規制の強化もさることながら、質の高い再エネへの誘導と国民のコンセンサスの醸成が求められていると言えるでしょう。