【海外調整市場】ドイツTSO、蓄電池の「直前市場制限」を議論 制度変更リスクが投資判断の新たな論点に

· 再エネ,電力

ドイツで、系統用蓄電池(BESS)の市場運用ルール見直しを巡る議論が進んでいます。英国の電力市場分析会社Modo Energyは、ドイツの送電系統運用者(TSO)が「schedule freeze」と呼ばれる新たな運用制限を提案していると報じました。これは、実需給直前まで可能だった蓄電池の市場取引変更を一定時刻以降禁止する仕組みです。

現在のドイツ市場では、蓄電池事業者は前日市場(day-ahead)だけでなく、実需給直前まで売買可能なintraday市場を活用しながら収益を最大化しています。特に再エネ比率上昇による価格変動拡大を背景に、短時間で充放電を切り替えるアービトラージ運用が収益の中核となっています。

系統安定化と自由市場の衝突

一方でTSO側は、大量の蓄電池が直前まで運転計画を変更することで、系統潮流予測や混雑管理(redispatch)が難化していることを問題視しています。

Modo Energyによれば、TSOが提案するschedule freezeでは、需給数時間前に運転計画を固定し、それ以降の市場変更を制限する可能性があります。TSO側は、再給電制御や系統安定化の確実性向上を狙っているとみられます。

しかし、蓄電池側から見ると、収益機会の大部分を占めるcontinuous intraday tradingへのアクセス制限につながります。SNS上では、Modo Energyが「continuous intraday access」を失った場合、intraday収益が最大92%減少する可能性を試算したことも話題となりました。

ドイツでは接続申請も急増

背景には、ドイツの急速な蓄電池開発ブームがあります。

Modo Energyによると、2025年時点でドイツTSOには211GWもの蓄電池接続申請が積み上がり、系統接続制度そのものが「管理不能」に近い状態になっていたとされます。これを受け、TSOは接続優先順位を見直す「Reifegradverfahren(成熟度ベース接続制度)」導入も進めています。

日本でも将来的な制度変更リスクに注意

日本では現在、蓄電池の利便性向上を目的に、需給調整市場や卸市場を横断的に活用できる「同時市場」議論が進んでいます。現時点では市場拡大と投資促進が政策の中心ですが、今後蓄電池が大量導入されれば、欧州同様に系統安定化との摩擦が顕在化する可能性があります。

特に、蓄電池ビジネスは制度設計に大きく依存するため、投資判断では価格予測だけでなく、「市場ルールそのものが変わるリスク」を織り込む必要があります。

国内の市場設計は、海外の例を数年遅れて導入することがあり、海外の動向を注視していくことが重要です。

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