【考察】なぜスペインではメガソーラーが受容されるのか?日本との違いは?【第1回】
【考察】なぜスペインではメガソーラーが受容されるのか?日本との違いは?【第1回】
EUの中でも突出するスペインの太陽光発電導入
アワリーマッチング推進協議会では、フィールド調査のために、只今スペインを訪れています。今日はバルセロナにいます。
スペインは、EUの中でも特に太陽光発電の導入が進んでいる国の一つです。2025年時点で、太陽光発電設備容量は50GW規模に達し、設備容量ベースではドイツに次ぐEUトップクラスとなっています。また、太陽光発電は国内発電電力量の約20%前後を占め、風力と並ぶ主要電源へと成長しています。
出典:REE Installed Capacity Report
この記事では、「なぜスペインでここまで大規模な太陽光発電を大量に導入することができたのか」について、当地にて考えてみたいと思います。
大規模太陽光発電が成立しやすい「3条件」
大規模太陽光発電、いわゆるメガソーラーが急速に導入される場所には、3つの条件があるというのが私の持論です。
第一は、日照条件が優れていることです。これは当たり前ですが。
第二は、草木が生えにくいなど、土地の利用用途が限定されていること。その結果、周辺にあまり人が住んでおらず、環境・社会負荷が小さいことです。
この2つの条件を満たすのは、どんなところかというと、そう、砂漠です。あるいは、それに準じる、比較的草木が育ちにくい地域です。
それでは、「世界の砂漠を太陽光パネルで埋め尽くせば、世界の電力需要をまかなえるじゃない」ということになりますが、実際にはそう簡単にはいきません。
最後の条件が、大消費地に近いということです。
いくら日照条件が良くても、送電線や需要地から遠ければ、大規模な系統投資が必要となります。
そのため、都市圏や工業集積地と比較的近い位置に発電適地が存在することが重要になります。
世界の特異点
砂漠や荒涼とした場所のすぐ近くに都市がある。これがメガソーラーの大量導入に適した場所です。
例えば、ロサンゼルス。すぐ後ろにラスベガスに通じる砂漠が広がります。
あるいはドバイ、チリの首都サンティアゴ。そしてインド中部。首都デリーから、ラジャスタン州ジャイプール、グジャラート州アーメダバード、ムンバイにつながる回廊には、都市が点々とあり、その周りを荒涼とした砂漠(または乾燥地)が囲んでいます。
こういった条件を満たす地域は世界でも稀で、ある種の特異点と言ってもよいでしょう。
スペインもメガソーラー適合地域
実は、スペインもこの条件にかなり近い特徴を持っています。特に南部のコルドバ、セビリア周辺には、砂漠とまでは言えないまでも半乾燥地帯が広がり、比較的条件のよいところはオリーブ畑、放牧地となっています。

これらの地域では、森林密度や人口密度が比較的低く、土地利用の競合が欧州の中では相対的に小さいという特徴があります。さらに、スペインでも、日本同様、内陸部から海沿いや都市部への人口流出が続いており、一部地域では人口減少や地域経済の縮小も進んでいます。

一方で、マドリードに加えて、海に面したバルセロナ、バレンシア、マラガ、ビルバオ、サンセバスチャンなどの都市には産業が集積していて、「乾いた土地の近くに大消費地がある」という条件を満たしているのがわかります。

再エネ導入は地理条件の影響を受ける
再生可能エネルギーの導入は、単純に「海外で成功しているから自国でも成功する」というものではありません。
特に太陽光発電は、気候、土地の特性、人口分布、産業構造、送電網の敷設状況、地形など、各国固有の地理的条件の影響を非常に強く受けます。
再エネ導入政策を考える際には、それぞれの国や地域が持つ地理的・社会的条件を踏まえた上で、自国に合った導入のあり方を検討していく必要があると言えるでしょう。
次回は、スペインの文化や国民性から、メガソーラーとの相性を考えてみたいと思います。

