全銀協・三菱総研、Scope2改定に意見提出 段階導入と実務配慮を提言
全銀協・三菱総研、Scope2改定に意見提出 段階導入と実務配慮を提言
GHGプロトコルScope2改定で時間粒度の厳格化の導入スピードについて、世界的に議論が沸き起こっています。そんな中で、日本の有力組織・企業も、独自の立場を鮮明にした意見書を提出しました。
このうち全国銀行協会は、2025年12月26日、GHGプロトコルのScope2ガイダンス改訂案に対する意見書を発表しています。これは2025年10月20日から2026年1月31日にかけて実施されたパブリック・コンサルテーションに対応したもので、金融実務の観点から複数の論点を整理しています。
― 全銀協の主な論点
全銀協は、時間一致や場所一致といった要件の厳格化が透明性向上に資する一方で、企業や金融機関の実務負担を大きく押し上げる可能性を指摘しています。特に多拠点・多国籍企業においては、データ収集や内部統制の再構築が必要となり、コスト増加が避けられないとされています。
また、日本の電力市場における再生可能エネルギー供給制約を踏まえ、厳格な時間・空間要件が再エネ投資を阻害する可能性についても言及しています。さらに、サステナビリティ連動ローン(SLL)など排出量をKPIとする金融商品への影響として、既存契約の見直しや評価基準の再設定が必要となるリスクが示されています。
こうした課題を踏まえ、全銀協は明確な段階区分と十分な移行期間を設けることが重要としています。
― 三菱総研の見解
一方、エネルギー分野での知見の深い三菱総合研究所は、2026年2月16日、同様のScope2改定に関する見解を発表しました。日本のエネルギー政策や電力市場構造、企業の算定実務への影響を踏まえた専門的分析を提示しています。

同社は、Scope2の見直しが企業の排出量算定、目標設定、情報開示に広範な影響を及ぼす点を整理したうえで、時間粒度や空間粒度の高度化については一律導入ではなく、段階的に進める必要があるとしています。特に、制度設計においては実務の実行可能性と市場への影響を十分に考慮すべきと指摘しています。
― 海外組織の動向
Scope2改定を巡っては、海外の実務者団体や非営利組織からも同様の意見が示されています。米国のCenter for Resource Solutionsは、時間一致や物理供給要件が自発的な再エネ市場参加を制約する可能性を指摘しています。
また、EKOenergyは年間ベースの証書調達の継続的な認可を求める立場を示し、Clean Energy Buyers Associationは企業実務への影響の大きさから具体的なコメント提出を呼びかけています。これらは、柔軟性を維持しつつ市場成長を確保すべきとの共通認識を示しています。
― 制度設計への示唆
これらの意見に共通するのは、排出量算定の透明性と比較可能性を維持しつつ、実務負担や市場への影響を抑制する必要性です。Scope2改定は2027年の最終化に向けて調整が続く見通しであり、各国の制度や市場構造を踏まえた現実的な設計が求められています。
今後、時間単位での排出管理やアワリーマッチングの導入が議論の中心となる中で、段階的移行と柔軟な適用が重要な論点となる見込みです。
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