【蓄電ビジネス】東北エリアでの放充電制御リスク増大の懸念

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OCCTOの指針と放電抑制の順位変更

電力広域的運営推進機関(OCCTO)による送配電等業務指針の変更により、全国的に平常時の系統制約による混雑発生時の出力制御において、非調整電源(旧電源Ⅲ相当)の制御順位が新たに明確化されました。

具体的には、一般送配電事業者および配電事業者が調整力としてあらかじめ確保していない発電設備等のうち、火力電源等(混焼バイオマス電源および揚水発電設備を含む)の出力抑制の次に、系統用蓄電池を含む蓄電設備の「放電抑制」を行う順位となることが規定されました。

この放電抑制は、バイオマス電源や太陽光・風力といった自然変動電源の出力制御よりも優先して実施されることになります。

なお、一般送配電事業者等があらかじめ確保している調整電源(旧電源Ⅰ、Ⅱ相当)については、蓄電設備を含め発電や充放電等のkWh単価に基づきメリットオーダーで優先的に制御される仕組みとなっています。

このように、系統用蓄電池からの放電は「逆潮流(系統へ電気を流すこと)」として扱われ、平常時の混雑管理の直接的な対象となることが制度上裏付けられた点は事実であり、蓄電池事業への影響は深刻となります。

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東北エリアの現状と新ルールの適用

こうした逆潮流側の制約が全国的に厳しさを増す中、東北電力ネットワーク管内では、2022年4月10日に初めて再生可能エネルギーの出力制御が実施されて以降、再エネ発電設備の系統連系が爆発的に増加し続けています。

その結果、2026年度には、FIT法施行規則に基づく「旧ルール」が適用される太陽光・風力事業者(無補償での出力制御上限が年間30日と規定されている設備)の出力制御日数が、ついにこの上限である**「30日」を超過**する深刻な見通しとなりました。

この事態に対応し、同社は再エネの最大限の活用と連系拡大を図るため、2026年4月より、無制限・無補償ルールの事業者およびFIT制度認定以外の事業者(系統用蓄電池を含む)の発電設備を対象に、**「一律部分制御」**という新たな方式での出力制御を開始しました。

従来の「輪番制御」は、必要な出力制御量に合わせて日ごとに発電設備を順番に停止させ、年間を通じて制御機会が公平になるよう調整する仕組みでした。

しかし「一律部分制御」では、制御が必要な時間帯において、対象となる全ての発電設備に対し一律の出力上限値(定格出力に対する%)を直接指示して出力を一斉に抑制します。

なお、無補償の上限がある旧ルールの設備や新ルールの設備(上限:風力は年間720時間、太陽光は年間360時間など)については、引き続き輪番制御が適用されます。

これにより、一律部分制御の対象となる蓄電池事業者は、特定の時間帯に一斉に放電を制限される機会損失リスクが常態化することになります。

蓄電池事業への影響と充電制約

蓄電池事業への影響として重要なのは、放電時の逆潮流に伴う一律部分制御リスクに加え、電力を吸い込む「順潮流(系統からの充電)」側における「充電抑制」リスクも顕在化している点です。

OCCTOの指針でも、平常時や電力設備の単一故障(N-1故障)時、さらには流通設備の作業停止時などの系統制約により、蓄電設備に対する「充電抑制」が行われることが明記されています。

具体的には、送変電設備の増強を行わずに早期連系を認めるノンファーム型接続等の枠組みにおいて、N-1故障発生時に当該蓄電設備の充電を停止することを前提に平常時の運用容量を拡大する措置が取られています。

もっとも、再エネ出力制御が発生する局面は、一般的には太陽光発電量が多く需要が低い昼間時間帯であり、市場価格が低下しているケースが中心です。

そのため実務上は、価格高騰時の放電機会損失だけでなく、市場価格が安い時間帯に余剰再エネを活用した充電機会そのものが、系統制約によって強制的に制限されるリスクの方が重要となる場面も少なくありません。

にローカル系統や特定の変電所周辺で再エネと蓄電池の接続が集中している場合には、送電線の熱容量制約や電圧制約の限界により、エリア全体で電力が余剰であっても局地的に蓄電池への充電が制御される可能性があります。

さらに今後は、平常時混雑管理の本格導入や再給電方式(一定の順序に基づく制御)の高度化に伴い、ローカル系統の混雑状況によっては、市場価格のシグナルとは独立して充放電制約が発生する可能性も高まります。

特に東北エリアのように再エネと系統用蓄電池の接続量が急増している地域では、系統混雑の発生地点や時間帯が多様化・複雑化していくことが想定されます。

このため事業者には、過去の需給実績や再エネ導入見通し、系統混雑発生傾向などを踏まえ、一律部分制御やN-1制約による充放電抑制がどの時間帯にどの程度発生し得るかを詳細にシミュレーションすることが求められます

単純な価格差を狙うアービトラージ収益のみに依存するのではなく、充電制約や局地的な放電制約を織り込んだうえで、事業収益性のストレステストを厳格に実施し、ノンファーム型接続を前提とした出力制御リスク下でも経済性が成立する堅牢な運用モデルを構築することが今後の蓄電池事業の生命線となります。

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