【第3回長期脱炭素電源オークション】水素専焼事業について概括。今後の見通しは

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長期脱炭素電源オークションは2050年のカーボンニュートラル実現と将来の電力安定供給を両立させるため、脱炭素電源への新規投資に対して原則20年間にわたり固定費水準の容量収入を保証する市場メカニズムです。

制度開始当初の第1回入札では、水素発電の上限価格は国内の燃料関連設備等の固定費のみをベースに設定され、新設の水素10パーセント以上混焼で1キロワットあたり年間4.8万円とされました。

その結果、既設火力を水素混焼に改修する案件は落札されたものの、水素専焼を含む新設案件は不落札となりました。

続く第2回入札では、水素の製造や液化、貯蔵といった海外の上流設備のコストを考慮し、グリーン水素の諸元をベースに上限価格が10万円に引き上げられましたが、依然として投資回収の予見性には課題が残されていました。

黎明期の技術に対する特例措置と第三回オークションの制度変更

これを受けた制度検討作業部会などの関連委員会において、水素やアンモニアは未だ黎明期のエネルギーであり、特段の配慮を行わなければ社会実装が困難であるとの認識が共有されました。

第3回入札に向けては、すべての電源に適用される20万円という上限価格の閾値の例外として、水素専焼については導入可能水準までの引き上げが認められました。

具体的には、グリーン水素をベースとした新設の水素専焼案件の上限価格は1キロワットあたり年間79.5万円、ブルー水素ベースで45.3万円という高い水準が設定されました。

さらに、液化天然ガス等の化石燃料との価格差に相当する燃料費などの可変費についても、設備利用率の40パーセント分までを運転維持費の一部として応札価格へ算入することが認められるという大幅な制度変更が実施され、投資判断を後押しする環境が整備されました。

第三回オークションにおける水素専焼の落札結果一覧

こうした抜本的な制度変更を経て実施された第3回オークションにおいて、脱炭素火力の募集上限50万キロワットに対し、事業者による真剣な価格競争の結果、水素専焼案件が落札を果たしました。

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1件目は、CEF H2株式会社の三池発電所、落札容量146,312キロワットです。

2件目は、ホクエナジー株式会社、第一発電所、落札容量106,654キロワットです。これら2件の水素専焼新設案件により、

合計25万キロワット以上の大規模なクリーンエネルギーインフラが新たに誕生することとなりました。

第四回以降のオークションへ与える影響と新たな事業規律の導入

第3回における水素専焼の落札実績と最新の政策動向は、来年1月に予定されている第4回オークション以降の量、価格、条件に抜本的な影響をもたらします。

条件面では、水素社会推進法に基づく計画認定に匹敵する案件を選ぶため、低炭素の水素およびアンモニアのみが対象に絞り込まれます。

事前審査において、日本企業の出資見込みや、主要設備のうち最低1つが我が国産業の国際競争力強化に寄与することなどが新たに求められます。

価格面においては、入札時の応札価格のみによる比較から、制度適用期間にわたり調達国の消費者物価指数によるインフレ率の継続を仮定して算出した補正値を用いた価格競争へと移行し、国民負担の抑制が図られます。

さらに、落札後8ヶ月以内に水素供給事業等の最終投資決定ができなかった場合に市場退出ペナルティを免除する特例が設けられる一方で、制度適用期間の上限は原則40年に設定される見通しであり、今後は経済安全保障やマクロ経済耐性を備えた強靭な事業組成が強く求められます。

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