【非化石価値取引市場】制度見直しを議論(第1回 次世代電力・ガス事業基盤構築小委員会 電力安定供給ワーキンググループ(2026年5月13日))
【非化石価値取引市場】制度見直しを議論(第1回 次世代電力・ガス事業基盤構築小委員会 電力安定供給ワーキンググループ(2026年5月13日))
経済産業省・資源エネルギー庁は2026年5月13日に電力安定供給ワーキンググループ(WG)を立ち上げ第一回会合を開きました。これは、総合資源エネルギー調査会次世代電力・ガス事業基盤構築小委員会の下に設置され、座長は大橋弘・東京大学大学院教授です
このWGに上程された資料に沿って、非化石価値取引市場の今後について詳しく解説します。
非化石価値取引市場の創設背景と市場の種類
非化石価値取引市場は、2016年の高度化法の目標見直しに伴い、小売電気事業者に対して2030年度までに非化石電源比率を44パーセント以上とする目標が設定されたことを受けて創設されました。自前の非化石電源を持たない新規参入者でも目標が達成できるよう、非化石電源の環境価値を証書として顕在化し、取引を可能とすることで、小売電気事業者の目標達成を後押しする狙いがあります。
市場は大きく二つに分かれており、一つは固定価格買取制度の対象となる電源に由来するFIT証書を扱う再エネ価値取引市場です。これは広く電力の需要家も参加でき、証書の販売収入は再生可能エネルギー賦課金の軽減に充てられます。
もう一つは、固定価格買取制度以外の電源に由来する非FIT証書を扱う高度化法義務達成市場であり、小売電気事業者が目標達成のために参加しています。
直近のオークション結果と取引価格の推移
高度化法義務達成市場における直近のオークション結果を見ると、取引状況に変化が生じています。
2025年度第1回および第2回オークションでは、買い入札量が大幅に増加した一方で、売り入札量が減少し、需要が供給を大きく上回る状態が継続しました。その結果、約定価格は上限価格である1キロワット時あたり1.3円に張り付く結果となりました。
第3回オークションにおいても買い入札量に対して売り入札量が少ない状態が続き、上限価格での約定が継続しています。
このような供給に対して需要が高い状況が生じている背景には、国際的な脱炭素の潮流や需要家の環境価値へのニーズの高まりがあり、非化石証書に対する需要が増え続ける中で、供給がそれに追いついていないという構造的な課題が存在しています。
高度化法第3フェーズに向けた中間目標値の設定方法
高度化法は現在第2フェーズの最終年度を迎えており、2026年度から始まる第3フェーズに向けた制度のあり方が議論されています。
特に重要な論点となっているのが、小売電気事業者に課される中間目標値の設定方法です。現行制度では、将来の供給計画の不確実性を考慮し、需要の見通しに対して一定の需給バランスを乗じて目標値を設定しています。
しかし、直近のアンケート調査などで需給バランスが想定を下回ることが確認されており、事業者の予見性を確保するために、需給バランスの数値を固定する方針が提案されています。また、最新の供給計画をもとに中間目標値を設定することで、実際の需給バランスとの乖離を少なくし、想定外の価格変動を回避する取り組みが進められています。

非化石価値を適正に評価するための上下限価格の見
直し
非化石価値を適正に評価するための市場のあり方として、証書の上下限価格の見直しも重要な検討課題となっています。
これまでの市場では、価格が下限価格である1キロワット時あたり0.6円に張り付くことが多かったため、非化石電源の維持や拡大に向けた適切な価格シグナルが発せられていないとの指摘がありました。脱炭素電源投資の重要性の高まりや、物価上昇による維持管理コストの増加を踏まえ、下限価格を引き上げる方向での見直しが議論されています。
一方で、上限価格の引き上げについては、小売電気事業者の負担増につながる懸念があるため、需要家の負担に配慮しつつ、2026年度については現行の価格水準を据え置き、2027年度以降の第3フェーズ期間中において具体的な水準を継続して検討していく方向で整理が行われています。これにより、非化石電源の投資促進と国民負担の抑制のバランスを取ることが目指されています。
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