全国銀行協会Scope2改定に段階的な実施を提言。海外組織も

· 電力脱炭素,GHG Scope2

全銀協のコメントと提言

2025年12月26日、一般社団法人全国銀行協会(全銀協)は、GHGプロトコルが公開した「Scope 2(間接電力排出)ガイダンス改訂案」に対するパブリックコメントとして意見書を提出しました。

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この意見書はGHGプロトコルが実施しているScope 2ガイダンス改訂のオンライン公募(2025年10月20日〜2026年1月31日)に応じたもので、金融実務の観点から以下のような複数の懸念と提言を述べています。

①実務負担とコストへの懸念

Scope 2定義の厳格化は透明性向上に資する一方、多地点・多国籍企業にとってデータ収集や新たなガバナンス体制の構築を必要とし、企業・金融機関の実務負担とコストが増大する可能性がある。

②国・地域事情への配慮

日本のエネルギー事情、特に再生可能エネルギーの供給制約を踏まえると、厳格な時間・場所一致要件が国内の再エネ投資や開発を阻害する懸念がある。

③金融商品の影響

サステナビリティ連動ローン(SLL)など、排出量をKPIとする金融商品では、Scope 2の見直しが既存目標の再設定や追加コストを生む可能性があり、評価・融資条件に影響を与える恐れがある。

④段階的な実施を提言

見直しを一気に進めるのではなく、実務負担緩和と予測可能性の確保の観点から明確な段階区分と十分な移行期間を設けることが重要

海外組織も続々とコメント

一方、Scope 2ガイダンス改訂を巡っては、海外でも、全銀行と同じように、現実的な対応や柔軟性を求める声が、実務者組織や非営利団体から続々と上がってきている状況です。

① Center for Resource Solutions(CRS/米国非営利団体)

CRSはScope 2改訂案に対する公募コメント準備のガイダンス資料を公表し、時間一致や物理的供給要件など、特定の提案が自発的な再エネ市場への参加を制限する可能性を懸念しています。市場の柔軟性と多様な調達オプションを維持することが重要だと強調しています。

② EKOenergy(国際環境ラベル団体)

EKOenergyは改訂案について、年間ベースの証書調達や国レベルの再エネリソースも引き続き認められるべきといった立場をSNS等で表明しています。時間・場所一致要件に偏った改訂は市場成長を阻害する可能性があるとの懸念を示しています。

③ Clean Energy Buyers Association(CEBA/企業購入者団体)

CEBAは、Scope 2ガイダンス改訂案が企業の再エネ調達実務に大きな影響を与えることから、実務者視点での具体的なコメント提出を呼びかけています。改訂案には厳格な時間・空間の粒度要件が含まれるため、企業は自社調達契約の評価や将来戦略の見直しを迫られる可能性があると指摘しています。

まとめ

これらのコメント・提言の底流にあるのは「実務の現実性を踏まえつつ、排出量算定の透明性と 比較可能性を維持する」こと、そして「大規模な市場混乱やコスト増を避ける柔軟性を担保すること」が重要という立場です。

Scope 2改訂案は、最終化が2027年に予定される中で、今後も各界からの意見を反映しつつ調整が進むと見られています。