【解説】DERMS/DARMSが形づくる世界の配電OS:電気料金削減と脱炭素化の新戦略
【解説】DERMS/DARMSが形づくる世界の配電OS:電気料金削減と脱炭素化の新戦略
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DARMSとDERMS
再生可能エネルギーの拡大、EVや蓄電池の普及、電力価格の変動性の高まりを背景に、世界の電力システムは上位送電系統だけではなく下位配電系統にも力点を置いて再設計されつつあります。
その中核に位置付けられているのが、DARMS(Distribution Automation Resource Management System)です。
DARMSとは、配電網に設置された開閉器、変圧器、電圧調整器などの設備をリアルタイムで把握・制御し、系統全体を安定的かつ効率的に運用するための管理システムです。従来の配電自動化を一段引き上げ、分散型電源や需要家側リソースの増加を前提とした「配電OS」として進化しています。

世界で進むDARMS×DERMSの統合
北米や欧州では、DARMS単体ではなく、DERMS(分散型エネルギーリソース管理)と一体で導入されるのが主流となっています。
配電設備を制御するDARMSと、太陽光・蓄電池・EV・需要応答を束ねるDERMSを組み合わせることで、配電網と需要家側を連続的に最適化する構造が実装されています。
例えば、Siemens や Schneider Electric は、DARMSとDERMSを統合した配電プラットフォームを展開し、Pacific Gas and Electric や E.ON などの配電事業者が本格導入を進めています。ここでは「配電の安定化」と「DERの有効活用」を同時に成立させることが前提となっています。
DARMS/DERMSが担う三つの中核機能
第一に、需要と供給のきめ細かな調整です。システムは電力需要の変化を常時監視し、需要が集中する時間帯には蓄電池や制御可能な負荷を活用してピークを抑制します。一方、需要が緩む時間帯には余剰電力を蓄えることで、エネルギーのロスを抑え、全体コストの最適化につなげます。
第二に、再生可能エネルギーのグリッド統合です。太陽光や風力は出力が変動しますが、DARMS/DERMSはその変動を前提に運用されます。日中に発電量が多い場合は蓄電池への充電を優先し、夕方以降に放電することで、再エネの価値を最大限引き出します。複数の再エネ電源を横断的に扱える点も特徴です。
第三に、配電網の安定運用です。急激な需要増加や局所的な負荷集中が起きた場合でも、系統状態を即時に把握し、電力の流れを再構成します。これにより、電圧逸脱や設備過負荷を回避し、安定供給を維持します。
費用削減と脱炭素化に向けて需要家が押さえておくべきポイント
この潮流は、配電事業者だけの話ではありません。むしろ需要家こそ、DARMS時代の重要なプレイヤーになります。
オンサイト太陽光、蓄電池、EVを導入する企業は、すでに「小さな発電所・蓄電所」を持つ存在です。市場連動型料金や最大需要電力の管理を行う際、これらの設備は単なるコスト削減装置ではなく、配電網と協調する調整力として機能します。
世界では、需要家の設備がDARMS/DERMSを通じて配電運用に組み込まれ、系統にとって望ましいタイミングで動くこと自体が価値になりつつあります。日本の需要家も、単独最適から一歩進み、「系統と協調する最適化」を設計段階から意識することが求められます。

EV・蓄電池を活かす最適アーキテクチャとは
DARMSを前提とした電力システムが主流化する中で、需要家の設備設計も「自社最適」から「系統協調型」へと発想を転換する必要があります。
まず重要なのは、オンサイト太陽光・蓄電池・EVを個別設備として導入しないことです。これらを統合制御できるEMSを中核に据え、外部のDERMS/DARMSとAPI連携できる構成を取ることが第一のチェックポイントとなります。
次に、制御粒度と応答速度です。15分値、30分値といった市場・系統側の時間解像度に対応できるか、EV充放電や蓄電池出力を柔軟に制御できるかを確認する必要があります。単なるバックアップ用途ではなく、ピーク抑制や価格連動制御に使える設計であることが重要です。
三点目は、最大需要電力(デマンド)管理との一体設計です。蓄電池やEVは容量(kWh)だけでなく、出力(kW)が系統価値を左右します。受電設備容量、契約電力、将来の増設余地を含め、DARMS下での制御を前提に設計すべきです。
最後に、拡張性と接続性です。EV台数の増加や市場制度の変更に対応できるよう、ハード・ソフトの両面で拡張可能な構成を選ぶことが求められます。DARMS時代において、需要家の設備は「閉じた資産」ではなく、系統と価値を共有するインフラの一部となってくるでしょう。
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