ベネズエラ危機は台湾有事の可能性を減じるのか?
ベネズエラ危機は台湾有事の可能性を減じるのか?
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米国軍によるベネズエラ攻撃が、中国による台湾有事の可能性を高めるのか、それとも低めるのかについては、各専門家による論を待つ必要がある。
一つの仮説として、「中国の関心は、台湾・尖閣・沖縄といった第一列島線「北部」から、フィリピンから南シナ海南部、さらにはマラッカ海峡に至る第一列島線「南部」に軸足を移さざるを得なくなるという論も出ている。
そこで、本記事ではその仮説について考察してみたい。
第一列島線の北から南への重心移動
東アジアの安全保障を語る際、長らく中心に据えられてきた概念が「第一列島線」である。日本の九州から沖縄、尖閣諸島、台湾を経てフィリピンへと連なるこの弧状の地理は、中国の海洋進出を抑止する前線として位置づけられてきた。
米国と同盟国は、この線上での軍事演習や部隊展開を通じ、外交・軍事のゲームにおける力点を明確に示してきた。

第一列島線と第二列島線
しかし、地政学の重心は必ずしも固定されたものではない。
仮にベネズエラが再び米国の強い影響下に入り、さらに世界物流の要衝である パナマ運河を管理するパナマまでが米国主導の秩序に明確に組み込まれるとすれば、状況は大きく変わる。
太平洋を横断するエネルギーと物流の経路は、地理的には存在し続けても、戦略的な意味合いを急速に失っていく可能性がある。
この場合、中国にとって死活的な意味を持つのは、台湾・尖閣・沖縄・九州を抜けて太平洋に出るルートではなく、むしろ南シナ海を経由するエネルギーと物資の流れである。とりわけ マラッカ海峡に至るシーレーンは、中国経済を支える原油・資源輸入の大動脈であり、ここが実質的な命綱となる。
この視点に立てば、中国の戦略的合理性は自ずと変化する。尖閣、沖縄、台湾といった第一列島線北部に対して、野心的かつ冒険的に兵力を集中させるよりも、南シナ海からマラッカ海峡に至るシーレーンの防衛を最優先課題として位置づける方が、費用対効果の高い選択となる。エネルギー供給が脅かされれば、軍事的勝敗以前に経済の基盤が揺らぐからだ。
第一列島線北部は依然として米国(その代理としての日本)と対峙する「パワーゲーム」の象徴的な最前線としての意味を持つが、それが主戦場であり続けるとは限らない。
我が国のエネルギー戦略にも深刻な影響を与えかねないこの問題を、引き続き注視すべきものと考える。
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