【速報】ウクライナ戦争と太陽光発電:IEAが注目する再エネのレジリエンス価値

· 電力速報,電力脱炭素,セキュリティ

Section image

ロシアによるウクライナ侵攻が全面化してから既に数年が経過し、国土全体が未曾有のエネルギー危機にさらされています。戦禍の中で最も標的となっているのが、発電所や変電所を含む電力インフラです。大規模な火力発電所や送電網が破壊されることで、地域ごとの停電や広域での電力供給の断絶が頻発しています。このような状況下で、従来の集中型電源中心のシステムの脆弱性が露呈しつつあります。

こうした戦時下のインフラ攻撃に対し、従来の発電所とは異なる分散型エネルギー資源としての太陽光発電が新たな注目を集めています。

太陽光発電は本来、屋根や空き地などに分散して設置される特性を持っており、数百キロワット級の小規模システムを多数構築することで、大型インフラのような「一点攻撃で機能停止」というリスクを回避できます。

ウクライナ政府や国際機関の分析でも、分散型太陽光PVは単一の破壊ポイントを持たず、攻撃による停電リスクを大幅に低減し得ると評価されています。

実際、国際エネルギー機関(IEA)のレポートでは、ウクライナが今後分散型太陽光を大幅に拡大することで、戦時や戦後復興期にわたり耐久性の高い電力システムを構築できる可能性を指摘しています。分散型太陽光発電は、建設期間が短く(数カ月程度)、既存の送電網の負担を抑えつつ地域ごとに電源を確保できる利点もあります。

さらに、戦禍の中で家庭や中小企業が太陽光発電と蓄電池を組み合わせて自立的に電力供給を確保しようとする動きも見られます。分散型発電により、局所的停電時でも電力を維持しやすく、システム全体の回復力が高まるという評価です。この点は、戦争終結後の復興プロセスにおいても重要な知見となっています。

これらの太陽光発電の導入は単なる再生可能エネルギーの環境面での価値を超えて、「エネルギーのレジリエンス(回復力)」という安全保障の観点からも再評価されています。戦時のインフラ破壊と復旧の繰り返しを経験する中で、中央集権的な大規模電源よりも、地域ごとに分散された小規模電源の方が攻撃コストに対する効果が低く、復旧も迅速に行えるという点が注目されています。

では、このウクライナでの教訓は、日本にどのように示唆を与えるでしょうか。日本は地理的に戦地とは異なるものの、自然災害やサイバー攻撃といった複合的リスクに直面する可能性が常に存在します。*近年では、経済安全保障や重要インフラ防護の議論が活発化していますが、分散型エネルギーシステムが災害時・戦時双方で持つ価値は、再生可能エネルギー政策の単なるコスト競争力や脱炭素目標だけでは語り尽くせない新たな視点を提供してくれます。

政府の電力システム改革議論では、2030年以降の再構築が進められていますが、「レジリエンス強化」という観点を再生可能エネルギー戦略に組み込むことは、国家の安全保障基盤を強化する上でも重要だといえるでしょう。

後半では、海外機関のセキュリティ・レポートをご報告します。