【解説】中国製EVバスに遠隔停止リスク~デンマークが緊急調査

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英国ガーディアンは2025年11月5日付で、デンマーク当局が数百台に及ぶ中国製EVバスのセキュリティ上の抜け穴について緊急調査を開始したと報じました。(ガーディアン)

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ノルウェーの運輸当局が中国メーカー「宇通(Yutong)」製のEVバスについて、車両制御システムへの遠隔アクセスが可能であり、ソフトウェア更新や診断のために中国側がシステムに接続できる実態を確認したということです。

走行中のバスを遠隔で停止させられる可能性があるという重大な脆弱性が指摘され、デンマークでは困惑が広がっている様子です。(ガーディアン)

デンマーク最大の公共交通会社モヴィアは、運行する469台の中国製EVバスのうち262台が宇通製であるとしています。モヴィアの最高執行責任者イェッペ・ゴーア氏は、「電気バスは電気自動車同様、インターネット接続機能を備え、遠隔で停止できる可能性があるが、これは中国製だから起きる問題ではなく、中国製電子機器を搭載したあらゆる機器に共通する課題である」と述べています。(Sustainable Bus)

また、デンマーク市民保護・緊急事態管理庁(サムシク)は、具体的な遠隔停止の事例は確認されていないものの、インターネット接続機能やカメラ、GPSなどのセンサーを備えたサブシステムが脆弱性となり得ると警告しています。(ガーディアン)

この報道を受けて、デンマーク中国批判協会の会長トーマス・ローデン氏は、中国企業への依存が国家の価値観や理想にそぐわない形で進んでいることへの懸念を表明しました。(Sustainable Bus)

このようなEVバスのセキュリティリスクは、対岸の火事ではありません。日本においても、電力セクターにおける経済安全保障の問題が重要性を増していることは、委員会等で専門家が指摘しています。

エネルギー消費・供給のデジタル化が進む中で、サプライチェーンや遠隔アクセスの安全性が国家インフラの安全保障と直結することは、我が国にとっても他人事ではないと言えるでしょう。