EU、中国製EVの相殺関税を巡る価格約束の運用指針を公表
EU、中国製EVの相殺関税を巡る価格約束の運用指針を公表
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欧州委員会は1月12日、中国から輸入される電気自動車(EV)に対する相殺関税を巡り、新たなガイダンス文書を公表しました。

これは、2024年に導入された中国EV向け相殺関税について、関税の代替措置となり得る「価格約束(プライス・アンダーテイキング)」の具体的な運用条件を整理したものです。
ガイダンスでは、EU域内に輸入される中国製EVについて、最低輸入価格の考え方が示されています。最低価格は、調査で認定された補助金効果やコスト構造、市場の歪みの程度を踏まえ、EU産業への損害を防止できる水準として個別に設定されるとしています。
また、特定の販売チャネルを通じた取引や、製品や取引間で価格差を補填するクロス補償行為は認められないと明記されました。さらに、価格約束が認められる場合には、EU域内での将来投資や事業活動に関する遵守要件が課される可能性があるとしています。
欧州委員会は2024年7月に中国EVに対する暫定相殺関税を導入し、同年10月に最終関税率を確定しました。今回のガイダンスは、その後も継続している中国側との協議を見据え、価格約束制度の透明性と予見可能性を高めることを目的としています。
このガイダンスは、EUが中国EVへの対応として、単純な関税措置にとどまらず、条件付きで市場アクセスを認める枠組みを示しています。
こうした、最低輸入価格を順守する代わりに、相殺関税の適用を回避または軽減できる仕組みを、EUは過去にも用いてきました。
中国EVについては、補助金による価格競争がEU産業に損害を与えていると判断された一方で、EUは全面的な輸入遮断や貿易摩擦の激化は回避したい立場にあります。そのため、最低価格の算定方法やクロス補償の禁止といった条件を明確化し、受け入れ可能な取引の枠を提示した形です。
また、このガイダンスでは、EU域内への将来投資にも言及しています。これは、単なる輸入管理ではなく、中国EVメーカーに対して域内生産やサプライチェーンへの関与を促す政策的メッセージとも受け取れます。
EUは貿易防衛措置と産業政策を組み合わせ、EV分野における域内競争力の確保を狙っていると考えられます。
ポストグローバル経済の中のこうした動きは、EVを巡る国際貿易が、関税の有無だけでなく、価格規律や投資行動を含めた複合的なルール形成の段階に入ったことを示しています。
WTO体制が行き詰まりを迎えている中で、日本でも戦略的な貿易戦略の構築が求められていると言えるでしょう。
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