衆議院解散、選挙後の再エネ施策はどう変わるのか。考えられる3つのシナリオ
衆議院解散、選挙後の再エネ施策はどう変わるのか。考えられる3つのシナリオ
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高市首相は1月19日に衆議院の解散を正式に表明し、その後、23日の通常国会冒頭で衆議院を解散し、2月8日または15日に衆議院総選挙の投開票に進む見通しです。

その後2月下旬にも特別国会を召集するものと思われます。総選挙の実施により、与野党の勢力図や連立の枠組みが変化すれば、エネルギー政策、とりわけ再生可能エネルギー政策の制度設計や政策の優先順位にも影響が及ぶ可能性があります。
そこで、各党の再エネ政策への姿勢を読み解き、3つのシナリオを予測します。
主要各党の主張
(文責:当社。なお当社は特定の党派を支持するものではありませんことにご留意ください。)
自由民主党
自民党は、再エネを「脱炭素効果の高い電源」と位置付ける一方で、原子力を含む多様な電源の活用を明確に打ち出しています。党内のエネルギー政策提言では、次期エネルギー基本計画において「再生可能エネルギーや原子力などの脱炭素電源を最大限活用することを明示すべきだ」としています。また、これまでの計画に記載されてきた「可能な限り原発依存度を低減する」との表現についても、「現実の電力需給や脱炭素の要請に照らし、見直しが必要」との考えが示されています。
選挙向けの政策文書では、再エネは単独の柱としてではなく、省エネ対策と併せて「エネルギーコストの上昇に強い社会をつくる」文脈で位置付けられています。具体的な導入量目標や制度設計の詳細よりも、安定供給、経済性、脱炭素の同時達成という全体像を重視している点が特徴です。
立憲民主党(中道改革へ)
立憲民主党は、再エネをエネルギー政策の中核に据える姿勢を最も明確に打ち出している政党の一つです。政策集では「2050年に再生可能エネルギーによる発電割合100%を目指す」と明記し、「できる限り早い時期に、化石燃料にも原子力にも依存しないカーボンニュートラルを達成する」としています。
さらに、同党は再エネ導入を成長戦略と位置付け、「今後10年間で省エネ・再エネ分野に200兆円規模の投資を行う。そのうち公的資金は50兆円規模」と具体的な数字を掲げています。地域分散型エネルギーの推進、雇用創出、産業育成といった政策目的も併記されており、再エネを電力政策にとどまらず、経済政策・産業政策と結び付けている点が特徴です。
公明党(中道改革へ)
公明党は、再エネの「主力電源化」を明確に掲げつつ、その実現手段を比較的具体的に示しています。マニフェストでは「徹底した省エネと再生可能エネルギーの主力電源化を進める」とした上で、導入策として「オフサイトPPAの普及」「次世代型太陽電池(ペロブスカイト太陽電池)の社会実装」「浮体式洋上風力の導入促進」「地熱資源の活用」などを列挙しています。原子力発電については、条件付きながら稼働を容認しています。
また、再エネ導入の前提条件として、全国規模での送電網整備や、排他的経済水域における発電設備設置に関する法整備にも言及しています。再エネ拡大と系統・制度整備を一体で進める姿勢が文書上から読み取れます。
国民民主党
国民民主党は、再エネ政策を主として電気料金対策の観点から整理しています。重点政策では「電気代を引き下げる」との項目の中で、「再生可能エネルギー発電促進賦課金の徴収停止」を明記し、同時に「安全基準を満たした原子力発電所の再稼働」を掲げています。
再エネそのものを否定する記述は見られない一方、制度的支援による国民負担を強く問題視しており、再エネ導入のスピードや手法よりも、家計や産業への影響を優先して政策を構成している点が特徴です。
日本維新の会
日本維新の会は、エネルギー政策を物価高対策と安全保障の文脈で整理しています。政策文書では「安全性が確認された原子力発電所については、可能な限り速やかに再稼働する」と明記しています。
また、電気料金対策として「再生可能エネルギー発電促進賦課金の一時徴収停止」を掲げています。
再エネについては、拡大そのものを前面に出す記述は少なく、料金抑制と供給力確保を優先する姿勢が政策文書全体から読み取れます。
参政党
参政党は、再エネ政策に対して明確に批判的な立場を示しています。政策では「高コストの再生可能エネルギーを縮小する」とした上で、「FIT制度および再エネ賦課金を廃止する」と明記しています。また、「行き過ぎたメガソーラーや風力発電は、自然環境や地域社会に悪影響を及ぼしている」とし、規制強化の必要性にも言及しています。
再エネ導入よりも、制度負担、環境影響、国民負担の是正を優先する姿勢がはっきりと示されています。
日本保守党
日本保守党は、「過度な再エネ依存の見直し」を掲げています。政策では「再エネ賦課金の廃止」を明記し、あわせて「火力発電技術の有効活用」など、現実的な電源構成を重視する姿勢を示しています。再エネ支援制度については、縮小や再設計を前提とした見直しが必要との立場です。
れいわ新選組
れいわ新選組は、再生可能エネルギーを脱炭素政策の中核に据え、原子力発電からの早期撤退を明確に掲げています。公式政策では、原発の即時廃止を打ち出した上で、再生可能エネルギーへの大規模な投資を国の責任で進めるとしています。再エネ導入については、市場任せではなく、国が主体となって設備投資やインフラ整備を進める考え方を示しています。送電網についても、公的関与を強めることで再エネの大量導入を可能にすべきだとしています。
電気料金や再エネ賦課金については、国民負担の問題を認識しつつも、再エネ導入を抑制するのではなく、財政支出などを通じて国民負担を軽減する制度設計を志向している点が特徴です。
日本共産党
日本共産党は、再生可能エネルギーを主力電源とする脱炭素政策を一貫して主張しています。政策では、原子力発電からの撤退を明確にし、太陽光、風力、地熱などの再生可能エネルギーを最大限活用することを掲げています。また、再エネの導入にあたっては、大規模集中型ではなく、地域分散型のエネルギーシステムを重視しています。送電網については、全国的な系統整備とともに、電力システムを公共インフラとして再構築する必要性を示しています。
再エネ賦課金については、国民負担の増加を課題と認識しつつ、その原因を制度設計に求め、国の財政支出や大企業への応分負担によって負担を軽減しながら、再エネ導入を進める立場を取っています。
選挙後のシナリオ
このように、再エネ政策を巡る政策軸は、「導入拡大の方法」と「国民負担の扱い」「政府の関与の度合い」と整理されます。これを踏まえると、各党の獲得議席数に応じて、以下の3つのシナリオが見通されると当社は分析しています。
シナリオ1:自由民主党が単独過半数
現状と変わりなし。自民党は、再エネ拡大を認めつつも、原子力を含む電源ミックス全体の中で位置付け、安定供給と経済性を重視する立場を維持。
シナリオ2:立憲民主党、公明党、日本共産党、れいわ新選組が過半数
再エネを主力電源と位置付け、導入拡大が一層推進される。ただし、立憲民主党と公明党は制度設計や技術導入を比較的現実路線で示し、日本共産党とれいわ新選組は、より強く「国の関与」「公的投資」「原発ゼロ」を前面に出している点に留意が必要。
シナリオ3:国民民主党、日本維新の会、参政党、日本保守党が優勢となり、自民党と合わせて過半数
再エネ賦課金や制度コストへの問題意識を強く示し、再エネ支援制度の見直しや抑制を含む現実的・負担重視の政策への転換の可能性。
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