30年国債金利過去最高の3.47%~なぜ金利高でも円安がとまらないのか?【第2回】震源地は高市政権ではなく米国FRB
30年国債金利過去最高の3.47%~なぜ金利高でも円安がとまらないのか?【第2回】震源地は高市政権ではなく米国FRB
日本の長期金利は異例の水準に達している。30年国債利回りは3.47%と過去最高水準を更新し、同時に円安と金価格の高騰が進行している。
本来であれば、金利上昇は通貨高を招くはずだが、現実にはその逆が起きている。この「円安・金利高・金高騰」の同時進行は、日本固有の政策要因だけでは説明できない。
市場では、高市政権による積極財政への転換や、日本銀行の利上げペースの遅さが指摘されている。
確かに、日本はGDP比で政府債務が突出して多く、インフレを考慮すれば実質金利は依然としてマイナス圏にある。これらが国債売り圧力を生んでいるのは事実である。
FRBのちぐはぐなメッセージ
しかし、より根源的な震源地は米国にあると当研究所では分析している。
現在の日本を含めたグローバル金利上昇の背景には、米連邦準備制度理事会(FRB)への信認低下があるという見立てだ。
米国ではインフレ期待が根強く残る一方、トランプ政権下での減税・歳出拡大が再び前面に出ている。
加えて、日本ではあまり報道されていないが、FRBは実質QE(量的緩和)に舵を切ったのではという憶測が市場から出ている。
FRBパウエル議長は、前回の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見において、量的引き締め(QT)は予定どおり継続しており、金融スタンスは引き締め的であると説明した。その上で、短期的な流動性供給は「市場機能を維持するための技術的措置」であり、金融緩和への転換を意味するものではないと強調した。公式には、恒常的なバランスシート拡大ではなく、一時的対応であるとの位置づけである。
しかし市場の一部はその説明を額面どおりには受け取っていないと思われる。実際には、12月上旬から12月31日までのわずか約3週間で、約1,000億ドル、円換算でおよそ15兆円規模のマネーが市場に供給されている。

この規模は「技術的調整」と呼ぶには大きく、QTを継続しながら別枠で流動性を注入するという政策の二重性に、不信感が広がっている。
この動きは、2023年のシリコンバレー銀行(SVB)危機時に、FRBが緊急流動性供給を行った局面を想起させるとの指摘もある。例えば、以下のYouTubeではエコノミストが、「名目上はQTだが、実態は危機対応型の準QEに近い」と述べ、FRBのメッセージと実際の資金フローの乖離を問題視している。
こうした認識のズレこそが、現在のドル不信と金利不安定化の一因となっている可能性がある。
1つの道具で二兎は追えない
物価を抑えるための金融引き締めと、景気を下支えするための金融緩和を同時に行うことは理論的に困難である。この政策の二重性が、FRBのスタンスを不透明にし、ドルという通貨への信認を揺るがしている。結果として、米国債利回りは高止まりし、金は「通貨不信の受け皿」として買われている。
「米国がくしゃみをすれば日本が風邪をひく」と言われるが、今回はその典型例である。ドルへの信認低下は、円への相対評価を押し下げ、同時に日本国債にもリスクプレミアムを要求させる。日本は米国発の金融不信を直接制御できない立場にあり、言わばもらい事故的に金利上昇を強いられている。
この意味で、現在の日本の円安・金利高は国内政策だけの問題ではない。米国の金融政策に対する不信と不透明性が解消されない限り、日本の異常とも言える市場環境は是正されにくい。円安是正や金利安定を日本単独で語ること自体が、すでに現実的ではなくなっているのである。
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