中部電力、エネルギー事業への回帰を目指す新中期経営計画の骨子を公表

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中部電力株式会社は、2026年4月28日に2026年度から開始される次期中期経営計画の骨子発表しました 。これまで進めてきた事業多角化路線を修正し、電力需要の増加や成長機会の拡大が見込まれるエネルギー事業を中核に据えた「選択と集中」へと舵を切ります。

背景には、生成AIの普及に伴うデータセンター需要や半導体工場の新増設、さらにはGX(グリーントランスフォーメーション)の進展による電化の加速があります 。政府の予測では、2040年度の電力需要は最大で2割強上昇する可能性が示されており、同社はこの市場環境の変化を成長の好機と捉えています 。

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新計画では、安定供給と脱炭素の両立を最優先課題として掲げています。具体的には、再生可能エネルギーの主力電源化を加速させる一方で、原子力発電所の再稼働や次世代革新炉への建て替え検討を通じたカーボンニュートラルなベースロード電源の確保に注力します 。

また、供給力の維持に向け、JERAを通じた最新鋭のLNG火力へのリプレースや、水素・アンモニア混焼といった低炭素火力技術への投資を継続する方針です 。これにより、変動の大きい再エネを支える調整力を確保し、強靭なエネルギーサプライチェーンの構築を目指すとしています。

戦略的投資と収益基盤の再構築

投資戦略においては、国内外のエネルギーインフラ整備に経営資源を重点配分します。特に、地域間連系線や地内系統の増強など、次世代の電力ネットワーク構築に向けた公的ファイナンスの活用も視野に入れています 。

デジタル技術(DX)の活用による需給運用の高度化や保守点検の効率化も推進し、経営効率を改善させることで持続的な成長を実現する構えです。将来の電力需要増を見据え、中長期的な企業価値の向上を確実なものにする狙いがあります 。

容量市場の見直しと低炭素火力への支援動向

現在、資源エネルギー庁の「制度検討作業部会」等において、日本の電力システムの根幹を揺るがす大きな見直しが進んでいます。その中心にあるのが「容量市場」の包括的な検証です。

容量市場は、将来(4年後)の発電能力(kW)を売買する仕組みですが、最新のコスト検証結果を反映し、指標価格(Net CONE)や上限価格を大幅に引き上げる方向で議論されています 。これは、物価高騰や人件費上昇に加え、再エネ拡大に伴う既存火力の稼働率低下で採算性が悪化し、このままでは供給力不足を招く懸念があるためです 。

特に注目すべきは、低炭素火力への支援です。「長期脱炭素電源オークション」を通じて、水素やアンモニアの混焼、あるいはCCS(二酸化炭素回収・貯留)付き火力へのリプレースを促進し、20年間にわたる投資回収の予見性を付与する仕組みが導入されています 。さらに、中東情勢の緊迫化等による燃料調達リスクを背景に、2026年度には非効率石炭火力の稼働抑制措置を一時的に免除し、安定供給を優先する柔軟な運用も決定されました 。これらの施策は、中部電力のような大手電力会社が脱炭素化と安定供給を両立させるための重要な支えとなっています。