金利上昇と円安の連鎖「マイルド債務危機に既に突入」と海外エコノミスト
金利上昇と円安の連鎖「マイルド債務危機に既に突入」と海外エコノミスト
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IIF(国際金融協会)元チーフエコノミストのロビン・ブルックス氏が、日本を含むG10諸国において債務危機が既に顕在化しているとの分析を示しました。
先進国では中央銀行による通貨発行と国債買い入れ(マネタイゼーション)によって回避可能との楽観論が根強いものの、同氏はこれを「危険な幻想」と断じています。
以下同氏の分析内容を当社文責でサマリーしています。
先進国の中央銀行は、利回り急騰時に介入することで期待インフレ率のアンカーを維持できると信じられてきました。しかし、公的債務が閾値を超えた状態で負のショックが発生すれば、市場はさらなる赤字拡大を織り込み、利回りに上昇圧力がかかります。
中央銀行が利回りを人為的に抑制し続ければ、政府の債務削減インセンティブは失われ、中央銀行が財政に隷属する「財政主導(Fiscal Dominance)」の状態に陥ります。これは遅かれ早かれインフレ期待のデアンカリング(乖離)を招くリスクを孕んでいるとしています。
債券市場から為替市場へ転嫁されるリスクプレミアム
ブルックス氏が特に問題視するのは、国債利回りを抑制できても、通貨の下落は防げないという点です。債券市場でリスクプレミアムが人為的に抑え込まれた場合、その歪みは通貨安として表出します。
現在の日本市場を分析すると、実効為替レート(NEER)ベースでの円安が進む一方で、JGB(日本国債)利回りは歴史的な水準まで上昇しています。特に注目すべきは、イールドカーブから算出されるフォワード・レートの動きです。

日銀が巨額の国債買い入れを通じて名目利回りを抑制しているにもかかわらず、これらのフォワード・レートが上昇し、同時に円安が進行している事態は、市場が日本の長期的な債務持続性に疑念を抱いている証左です。債券市場に留まれないリスクプレミアムが為替市場に溢れ出しており、これは実質的に「マイルドな債務危機(low-grade debt crisis)」が進行している状態を意味します。
日本と欧州の比較
英国は、ギルト債の利回り上昇を容認したことで、ポンドは相対的な安定を保っているのに対して、日本は利回り抑制を優先するあまりに通貨価値の毀損(Debasement)に直面しているとしています。
ユーロ圏ではイタリア、スペイン、フランスでも同様の構図が見られますが、これらの国々が日本ほどの危機的状況を回避できているのは、低債務国であるドイツと通貨を共有しているためであり、ドイツが赤字拡大に転じればユーロ全体が同様の構造的リスクに晒されることになるとも指摘しています。
当社の分析
いわゆる高市トレードは、円安・債券安の一方で、史上最高の株高をもたらしていて、トリプル安の「日本売り」とはなっていません。
従って、これを債務危機と呼ぶのは必ずしも妥当ではないかもしれません。しかし、今後ともマーケットの動向には注意が必要です。
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