スコープ3、第5回TWG(25年11月)で何が話し合われたか?

· 電力脱炭素,Scope3

2025年11月8日に開催された、GHGプロトコルの第5回 Technical Working Group(TWG)ミーティングでは、Scope3算定の実務上の課題を踏まえた具体的な技術論点の整理と、改訂ガイダンス案に向けた収束工程が話し合われました。

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本ミーティングは、Phase2における後半フェーズに位置づけられ、概念整理から実装可能性の検証へと議論が展開されています。

Scope3の改訂は、Phase1で論点整理、Phase2で技術的整理とガイダンス案の具体化、その後にパブリックコンサルテーションと最終化、という段階で進められています。

今回の第5回TWGは、Phase2の中でも、主要論点の選択肢を決め、原則レベルでの方向性を合意するとりまとめ作業が行われました。

主な議論内容

1. カテゴリー別算定手法の整理状況

Scope3各カテゴリーにおいて、平均データ、サプライヤーデータ、ハイブリッド手法の使い分けについて再確認が行われました。

特に、一次データの取得可能性と信頼性を前提にした段階的アプローチが改めて強調されています。

2. データ品質とデータギャップの扱い

サプライチェーン上で避けられないデータ欠損に対し、

・データ品質スコアリング

・保守的仮定の置き方

・将来的な改善計画との分離

といった考え方を、算定ルールと開示ルールで明確に切り分ける方向性が示されました。

3. 二重計上および境界設定

Scope3特有の論点である二重計上については、「排除」ではなく「理解可能性と一貫性の確保」を重視する整理が行われています。

バリューチェーン全体最適の観点から、算定境界の透明性と説明可能性を優先するアプローチが支持されました。

4. 削減主張と算定の関係

削減努力の評価と排出量算定を過度に混同しないという原則が再確認されました。特に、回避排出や削減貢献の扱いについては、Scope3インベントリとは切り離した補足情報として整理すべきとの方向性が示されています。

5. 他フレームワークとの整合

SBTi、ISO、ISSBなど他の国際フレームワークとの整合性が議論され、Scope3ガイダンスは「基盤的会計ルール」に徹するべきとの整理が共有されました。政策目的や目標管理は上位フレームに委ねる構造が意識されています。

今回ミーティングの意義

第5回TWGは、Scope3改訂において

・理論的正しさ

・実務での適用可能性

・国際的な受容性

のバランスを取るための重要な分岐点でした。

特に、「完璧なデータを前提としない現実的な算定ルールを、いかに標準として定義するか?」という点で、議論が一段深まった回と位置づけられます。