国連24/7CFE:最新レポート(2025年12月)

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はじめに

アワリーマッチング導入に向けた議論を主導する国連24時間365日カーボンフリーエネルギー(24/7 CFE)コンパクトに、電力シェアリングは積極的に参画しています。

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2025年9月にニューヨークで開催された総会でのパネル討議に参加し、日本の状況を説明すると同時に、その後の2025年11月のクローズドドアセッション(オンライン)で最新の情報を収集しています。

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この会合でも紹介があったのですが、国連24/7Cは、2025年を総括をするレターを加盟者に発出しました。

その概要を皆様にも共有させていただいています。

国連24/7Cからの関係者に向けたレターの中身

レターの書き出しはというと、「アワリーマッチングは各国で実行フェーズに入った」と昨年以上に踏み込んだ表現となっています。

冒頭サマリー

24時間365日カーボンフリーエネルギー(CFE)協定は2025年も拡張し、アワリーマッチング、精緻な詳細な会計処理、システムの柔軟性に関する実践的なガイダンスを通じて、署名国政府が実行フェーズに移行する支援してきた。

本協定はグローバルな展開を拡大し、政府や市場関係者との連携を強化するとともに、多様性に富む状況下でのクリーン電力推進に向けた焦点の絞られた意見交換の場を設けた。

こうした取り組みは、公正かつ包摂的なエネルギー転換を支援しつつ、電力部門の脱炭素化に向けた信頼できる道筋としての24/7 CFEの役割を確固たるものとした。

24/7 Carbon-Free Energy Compact

The 24/7 Carbon-Free Energy (CFE) Compact continued to gain momentum in 2025, supporting signatories in moving from ambition to implementation through practical guidance on hourly matching, granular accounting, and system flexibility. The Compact expanded its global reach, strengthened engagement with governments and market actors, and convened focused exchanges to advance clean electricity across diverse contexts. These efforts reinforced the role of 24/7 CFE as a credible pathway for power sector decarbonization while supporting a just and inclusive energy transition. Learn how to join and access resources here.

GHGプロトコルScope2のパブリックコンサルテーション案の中に、アワリーマッチングがしっかりと入っていることに自信を深めているのだと思います。

最新レポートの内容

このレターの中で国連24/7Cタスクチームを所管する、いわば親元のSustainable Energy for All(SEforALL)部局が2025年9月に発刊したレポート「Advancing the Just Energy Transitionthrough Clean Energy Procurement」を紹介しています。

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そこで、このレポートの主なターゲットは企業であり、そのアワリーマッチング参加の働きかけを狙っています。

その言わんとすることは、


「24/7Carbon-Free Energy(24/7CFE)という調達アプローチが、単なる企業の脱炭素手法にとどまらず、地域経済・雇用・エネルギーコスト・電力系統の信頼性といった社会的課題を同時に解決できます。なので、企業の皆様におかれましては、説明責任を全うするための最適な手法ですよ」

ということです。

レポートの構成としては、まず24/7CFEの基本原則(時間一致、地域一致、追加性、技術中立性)を整理したうえで、企業調達が「公正なエネルギー移行(Just Energy Transition)」にどのように貢献し得るかを、電力システム・地域経済・雇用・公衆衛生の観点から多角的に分析しています。

特に、年間証書ベースの再エネ調達では見落とされがちだった「いつ・どこで電気を使うか」という論点を、時間粒度と立地粒度の両面から再定義している点が本レポートの中核です。


レポートの訴えるデータセンター所有者・運営者の企業責任

近年、データセンター(DC)は各国で急増する一方、電力需要の集中や系統負荷、地元電力価格への影響から「迷惑施設」と受け止められるケースも少なくありません。

本レポートは、こうした懸念に正面から向き合い、GoogleやMetaといった企業が24/7CFEを通じて、地域への裨益を「責任ある形で実装している」具体事例を紹介しています。

  • 米国では、GoogleがEDPRenewablesと連携し、PJM管内で500MW規模の太陽光ポートフォリオを構築しました。このプロジェクトでは、収益の少なくとも10%を低所得世帯向けの電気料金クレジットとして還元し、2万5千世帯以上のエネルギー負担軽減につなげています。
  • さらに、12百万ドル規模のコミュニティ投資基金を設立し、地域の省エネ投資や効率改善にも波及効果を生んでいます。同様にMetaは、TVA(テネシー川流域公社)と協働し、グリーンタリフ制度を設計することで、自社DCの再エネ化と同時に、他の需要家にも新規太陽光へのアクセスを開放しました。

アワリーマッチングの有効性を裏付ける研究・実証も各国で進んでいて、インドの例を紹介しています

  • インドでは、Transition Zeroによる系統モデル分析により、アワリーマッチング70%の達成で、年間マッチングより低コストかつ高い排出削減効果をもたらすことが示されました。

終わりに

GHGプロトコルScope2の議論展開の陰の主役といっても大げさではない国連24/7Cは、2026年もますます活発に活動を続ける見通しです。

当社としても、引き続き事務局や参加メンバーとワンオンワンでコミュニケーションをとって、情報収集を続けてまいります。