資源エネルギー庁は、2026年7月14日、総合資源エネルギー調査会の「電力安定供給ワーキンググループ(第4回)」で、長期脱炭素電源オークションの第4回募集に向けた制度案を発表しました。同オークションは容量市場の一部として、複数年度にわたる容量収入の予見性を高め、脱炭素電源への新規投資を促す制度です。 (経済産業省)
第4回では、脱炭素電源の募集量を第3回と同じ500万kWとし、これとは別にLNG専焼火力600万kWを募集する案が示されました。第3回の脱炭素電源の落札量は426万kWでした。データセンターや半導体工場の新増設に加え、2040年の需要を1.1兆kWhとする想定では、老朽火力3900万kWを建て替えても1600万kW不足するとの試算が背景にあります。第5回以降のLNG募集量は年550万~800万kWが目安です。同庁は、供給力への投資促進と国民負担の抑制を両立させる必要があるとしています。
洋上風力は上限価格が34万~70万円
洋上風力では、公募占用計画の供給価格を0円/kWhへ変更した「ゼロプレミアム」案件について、FIP制度のバランシングコスト交付を受けないことを条件に応札を認める方向です。第2・第3ラウンドの6案件、合計約70万kWが参加候補となり、固定費の二重回収を避ける仕組みが示されました。
上限価格案は31.9円/kWhに8760時間と設備利用率39.3%を掛け、地域別の調整係数で割る方式です。結果は34万~70万円/kW・年となり、従来の20万円前後から大きく上昇します。ただし募集上限は50万kWです。候補案件の合計規模を下回るため、応札が集中すれば価格競争が強まり、立地エリアごとの調整係数も収益性を左右します。
蓄電池・原子力・脱炭素火力に電源別の枠
500万kWの内訳には、脱炭素火力50万kW、既設原子力の安全対策投資150万kWの上限を設定します。蓄電設備は、リチウムイオン蓄電池40万kW、非リチウム系蓄電池40万kW、揚水の新設・リプレース等とLDESを合わせて40万kWの3枠とし、上限を超える追加落札は行いません。一般木質バイオマス、農産物残さの固体燃料、液体バイオマスも第4回では対象に残します。
物価上昇を反映し、一般水力、揚水の新設、原子力などの上限価格算定は、想定コストの1.5倍から2倍へ引き上げます。LNGは受入基地整備を含む案件の上限を最大9.2万円/kW・年とする一方、一般水力、揚水の新設、原子力、LNGの支援期間上限は40年から30年へ短縮します。再生可能エネルギーは20年に限定し、資本コストは委員意見を踏まえてベース5.5%、電源別4.5~6.5%へ見直します。
LNGの固定還付8,000円案は結論持ち越し
LNG専焼火力では、他市場収益の約90%を実績に基づいて還付する現行方式に加え、事前に固定額を選べる仕組みが議論されました。長期燃料契約を結びやすくし、燃料が余るリスクを事業者が取りやすくする狙いがあります。事務局は、過去10年間の卸電力価格とLNG燃料費から算出した平均収益8753円/kW・年の約90%に当たる8000円/kW・年を提示しました。
これに対し委員からは、2016・2017年度の除外、2020年度の価格補正、設備利用率40%を上限とした計算について、根拠を多面的に検証すべきだとの意見が相次ぎました。このため8000円の水準は確定せず、継続審議となりました。固定額の設定は、将来の市場収益の帰属、LNG長期契約の採否、プロジェクトファイナンスの条件に影響する可能性があります。
最低設備利用率も実績ベースへ見直し
年間の最低設備利用率は、従来の想定値ではなく、過去10年間に示された年間平均実績の最低値を基準にする方向です。太陽光は18.3%から14.8%、陸上風力は29.1%から24.5%、洋上風力は39.3%から25.2%へ引き下げる一方、流れ込み式水力は44.8%から51.0%へ引き上げます。未達時のペナルティーリスクが変わるため、発電量予測や保守計画の再点検が必要です。
事業者にとって第4回は、上限価格だけでなく、募集枠、支援期間、資本コスト、他市場収益の還付、最低設備利用率を一体で評価する入札になります。洋上風力は参加機会が広がる一方で50万kWの枠が競争を強め、蓄電池は技術別40万kWの枠が案件選別を厳しくします。資本費、系統接続費、撤去費用、燃料契約を同じ収支モデルに入れ、落札後の長期リスクまで精査することが重要です。
制度案とガイドライン案は、7月17日から8月16日まで意見募集に付されました。今後の最終化では、LNG固定還付額や各電源の上限価格、募集枠の扱いが焦点となります。応募を検討する発電・蓄電事業者は、最終ルールの変更余地を見込みながら、資金調達先、EPC、燃料・機器サプライヤーとの条件調整を進める必要があります。(パブリックコメント)
出典
総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 次世代電力・ガス事業基盤構築小委員会 電力安定供給ワーキンググループ(第4回)