アワリーマッチングでは、「どれだけ再エネを購入したか」だけでなく、「電気を使った時間に再エネが発電していたか」が重要になります。この時間の一致度を「アワリーマッチング率」と呼びます。
現在、日本の再エネ導入の中心は太陽光発電です。そのため、多くの企業では、まず太陽光発電所とのコーポレートPPAを締結し、再エネ調達を進めていくことになります。
しかし、太陽光発電は夜間には発電できず、昼間も天候によって発電量が大きく変動します。そのため、太陽光だけで高いアワリーマッチング率を実現することは容易ではありません。
発電特性の異なる再エネを組み合わせる
そこで有効なのが、発電特性の異なる再エネを組み合わせる方法です。代表的なのが太陽光発電と風力発電です。
風力発電も風況によって発電量は変動しますが、太陽光とは発電パターンが異なり、夜間や冬季にも発電します。そのため、太陽光と風力を組み合わせることで、お互いの弱点を補い合い、需要との時間的な一致率を高めることが期待できます。
具体的には、電力小売事業者を通じて、太陽光発電と風力発電の両方でPPAを組成する方法が考えられます。
参考となる事例として、東北電力・ユーラスエナジー・しろくま電力・イノベーションスタイルによるセブン‐イレブン約1,800店舗向けのオフサイトPPAがあります。この事業では、太陽光発電と風力発電を組み合わせて再エネを供給しています。詳しくは同社のプレスリリースをご覧ください。
ただし、公式プレスリリースでは、この事業がアワリーマッチング率の向上や24/7 CFEの実現を目的としているとは明記されていません。ここでは、あくまで、複数の再エネ電源を組み合わせたPPAの事例として参考とさせていただきます。
実際のPPA組成はさらに高度になる
もっとも、実際のPPA組成はそれほど単純ではありません。考慮しなければならないのは、「太陽光の発電量」「風力の発電量」「需要家の電力需要」という3つの時間変動をできるだけ一致させることです。
例えば、ある時間帯には太陽光と風力の発電量が想定以上に増え、需要を上回ってしまうこともあります。一方で、夜間や無風時には供給が不足する場合もあります。
このため実務では、バーチャルPPAやフィジカルPPAの契約条件を工夫したり、必要に応じてコールオプションなどのデリバティブを組み合わせたりすることで、需給リスクを調整します。このようなスキームを設計・組成することが、電力小売事業者やアグリゲーターなどの大きな役割となります。
欧米では、このようなデリバティブを活用した高度なPPAスキームも既に実用段階に入っており、今後、日本でもアワリーマッチング率の向上を目指す企業が増えるにつれて、こうした仕組みの重要性はさらに高まっていくと考えられます。