【解説】GHGプロトコルのAMI、再エネの質と削減効果をどう評価するか

AMIとは何か

AMI(Actions and Market Instruments、行動と市場手段)は、企業の削減行動やPPA、環境価値証書、炭素クレジット、低炭素材料の証書などを、GHG報告の中でどのように算定・開示するかを定める新たな基準です。電力分野で同じ略称が使われるAdvanced Metering Infrastructure(高度計量基盤)とは別物です。2026年3月の白書は、①物理的GHGインベントリ、②マーケット基準GHGインベントリ、③GHGインパクト・ステートメント、④非GHG指標という4つの報告区分を提案しました。スコープ2のMBMは②に組み込まれる可能性があり、契約上の排出配分と、行動による社会全体の削減効果を分けて示す考え方です。(GHGプロトコル)

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MBM改定と並行する国際議論

スコープ2のMBM改定案では、契約手段と電力使用を1時間単位で一致させる「時間一致」と、発電電力が需要地点へ物理的に到達し得ることを示す「供給可能性(deliverability)」が主要論点です。AMIはMBM要件を直接決める部会ではありませんが、GHGプロトコルは両基準の公表・発効時期を連動させる方向です。AMI白書への情報提供要請には約500件の回答があり、正式な基準案のパブリックコンサルテーションは2027年第3四半期に予定されています。日本でも環境省が改定動向を紹介し、技術作業部会にはパナソニック オペレーショナルエクセレンスや日本鉄鋼連盟の関係者が参加しています。

アワリーマッチング電源を左右し得る追加性

電力分野で重要になるのが「追加性」です。AMI向けの協議資料では、再エネ案件がなければ生じなかった排出削減を評価するため、規制要件、事業開始時期、財務採算、障壁、一般慣行、ポジティブリスト、性能基準、PPAなどの契約期間、初号案件かどうかという九つのテストが検討されています。これらがマーケット基準GHGインベントリの適格性・品質基準に入れば、アワリーマッチング対象電源にも、発電時刻と地域だけでなく、運転開始年、補助制度、契約が投資判断に与えた影響、契約期間、技術の普及度などの情報が求められる可能性があります。既設水力や古い再エネは時間一致を満たしても、「企業の調達が新たな削減を生んだ」とする主張には使いにくくなることがあります。

まだ確定せず、二段階評価の可能性

ただし、2026年7月15日の最新議事録では、マーケット基準GHGインベントリに追加性を要求するかは未決定です。炭素クレジット並みの厳格な追加性は、この報告区分には過度に厳しいとの意見も示されました。今後は、MBMでは時間一致、地域一致、証書の償却を満たした電力量を報告し、AMIのインパクト・ステートメントでは追加性や限界排出係数を用いて、実際の回避排出量を別途示す二段階構造も考えられます。企業や電力供給者は、発電所ID、電源種、運転開始日、所在地、1時間値、証書番号、PPA期間、補助金・規制上の位置付けまで追跡できるデータ設計を準備することが重要です。(GHGプロトコル)

【参考】GHG Protocol「Actions and Market Instruments Standard」

【参考】GHG Protocol「AMI Phase 1 White Paper」

【参考】GHG Protocol「Scope 2 Public Consultation」

【参考】GHG Protocol「Consequential Electricity-Sector Emissions Impacts」

【参考】GHG Protocol「AMI TWG Meeting #18」

【参考】環境省「知っておきたい!GHGプロトコル改訂の最新動向」

【参考】Wikipedia「GHG Protocol Corporate Standard」

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