【解説】改正電事法が成立、電源・送電網に公的融資 太陽光設備は工事前に第三者確認

経済産業省は、2026年7月21日、「電気事業法の一部を改正する法律」が7月17日の参議院本会議で可決、成立したと発表しました。大規模電源・送電網への資金供給、電力市場と小売事業の規律強化、太陽光発電設備の安全対策を一体で進めます。 (Shugiin)

国際的なエネルギー情勢が不安定化する一方、国内ではデータセンターや半導体工場の新設、DX・GXの進展に伴う電力需要の増加が見込まれています。政府は、投資回収に長期間を要する電源・系統整備を金融面から補完し、安定供給とエネルギー安全保障を強化するとしています。(Ministry of Economy, Trade and Industry)

広域機関が財投資金を貸し付け

改正法では、経済産業大臣が一般送配電事業者や送電事業者の「基幹送変電設備整備等計画」と、大規模発電事業者の「発電等用電気工作物整備等計画」を認定します。認定事業者には、電力広域的運営推進機関(OCCTO)が財政投融資などを原資として、設備の整備・更新に必要な資金を貸し付けます。(Shugiin)

卸電力取引所で供給エリアを越えて売買した際に生じる「値差収益」は、エネルギー対策特別会計に納付し、OCCTOへの補助を通じて地域間・地域内送電線などに活用します。また、発電設備の合計出力が少なくとも10万kW以上の範囲で省令が定める基準に該当する大規模発電事業者には、電源の休止・廃止前に一般送配電事業者などと協議する義務を課します。(衆議院)

中長期・需給調整市場も監督対象に

小売分野では、正当な理由なく登録後1年以内に事業を始めない場合や、1年以上継続して休止した場合を登録取消事由に追加します。実態のない休眠事業者を整理し、需要家保護と事業者管理の実効性を高める狙いです。(衆議院)

市場制度では、現行の翌日市場を「短期卸電力取引所」の業務として整理したうえで、「中長期卸電力取引所」と「需給調整卸電力取引所」の指定制度を創設します。中長期市場は、翌々日以降の一定期間に受け渡す電力を省令で定める時間単位で取引する市場です。経済産業大臣は、運営主体の経理的・技術的基盤や公正性を審査し、違反時には指定取消しや業務停止を命じられます。(Shugiin)

太陽光の架台・基礎、設計を事前確認

太陽光発電設備では、省令で定める工事について、架台や基礎などの支持物が技術基準に適合することを、登録適合性確認機関が工事前に確認する仕組みを導入します。設置者は適合を示す証明書を経済産業大臣に提出します。対象規模、確認する構造計算書・設計図面、標準構造に対する例外などは、今後の省令で具体化されます。(Shugiin)

製品・施工不良などで設置者だけでは是正が難しい場合、製造、輸入販売、工事を行った事業者には協力の努力義務を課します。協力拒否が技術基準への適合措置を著しく妨げた場合、経済産業大臣は勧告し、正当な理由なく従わなければその旨を公表できます。報告徴収、立入検査、検査困難な設備の提出命令も可能になります。(衆議院)

市場・安全制度は公布後1年以内

法律本体は一部を除き公布後9カ月以内に施行します。一方、中長期・需給調整市場の指定制度、第三者による適合性確認、製造事業者などへの検査権限を含む規定は、公布後1年以内の政令指定日に施行します。制度開始までに登録機関の要件、対象設備、融資基準、市場の業務規程を整える必要があります。(Shugiin)

今回の改正は、長期資金を必要とする電源・系統投資と、分散型電源の安全確保を同時に強化する点が特徴です。効果を左右するのは、公的融資を実際の投資決定につなげられるか、また安全確認を形骸化させず、工期への影響を抑えながら運用できるかです。(経済産業省)

出典 経済産業省「電気事業法の一部を改正する法律案が成立しました」

衆議院「電気事業法の一部を改正する法律案」

経済産業省「太陽電池発電設備等の発電設備を巡る保安上の課題と対応の方向性に係る取りまとめ」

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