株式会社山陰合同銀行は2025年9月18日、子会社のごうぎんエナジー株式会社が鳥取県倉吉市で系統用蓄電池事業を開始すると発表しました。「GE倉吉蓄電所」は倉吉市清谷地内に設置され、出力1,990kW、蓄電容量8,128kWhの設備として2025年11月の運転開始を予定しています。再生可能エネルギー発電事業を営む銀行子会社による系統用蓄電池事業は、全国初の取り組みとしています。
日中に充電し需要が高まる時間帯に放電
系統用蓄電池は送配電網へ直接接続し、電力の供給量が需要を上回る時間帯に充電し、需要が高まる時間帯に放電する設備です。山陰合同銀行は、太陽光発電などの供給量が多くなる日中に電気を蓄え、一般家庭などの需要が増える夕方から夜間に放電する運用例を示しています。発電量が天候や季節で変動する再生可能エネルギーの導入が進む中、余剰電力の吸収や需給バランスの調整を担います。
GE倉吉蓄電所の容量を定格出力で単純に除すると、約4時間の放電に相当する構成です。短時間の出力変動への対応だけでなく、時間帯をまたいで電力を移す運用にも適した設備規模といえます。出力抑制の軽減や電力の安定供給に蓄電池を活用し、地域における再エネ導入の受け皿を拡大する狙いがあります。
3市場を見据えた事業運営
同社は、系統用蓄電池が卸電力市場、需給調整市場、容量市場で活用されることを想定しています。卸電力市場では価格の低い時間帯に充電し、高い時間帯に放電する運用が基本となります。需給調整市場では電力系統の周波数や需給のずれに対応する調整力を提供し、容量市場では将来の供給力としての価値が評価されます。複数市場を組み合わせる場合、価格予測、充放電計画、設備劣化を考慮した運用管理が収益性を左右します。
ごうぎんエナジーは、地域の再生可能エネルギー普及と脱炭素を進める山陰合同銀行グループの事業会社です。地域金融グループが蓄電所を自ら保有・運用することで、資金供給にとどまらず、案件開発や運用の知見を地域内に蓄積できます。本件は、地方銀行グループが地域脱炭素と電力系統の安定化を事業として結び付ける先行事例となります。記事分類では蓄電池事業としてSTを付与し、電力事業を示すELは空欄とします。