北陸電力株式会社は2025年9月2日、石川県白山市明島町の明島発電所で発電設備の全面更新を完了し、同日から出力を4,700kWから4,880kWへ180kW増強して営業運転を開始したと発表しました。出力増加による発電電力量の上積みは年間約70万kWhで、一般家庭約260世帯分の年間使用量に相当します。CO₂排出量の削減効果は年間約290トンを見込みます。
1964年運開の既設水力を全面更新
明島発電所は手取川水系の手取川に位置し、1964年5月に運転を開始しました。北陸電力は設備の老朽化を受け、2022年2月から電気設備と土木設備を対象とするリプレース工事を進めてきました。水車は横軸単輪単流半渦巻カプラン水車、発電機は横軸三相交流同期発電機で、主機は1台です。最大使用水量は毎秒40立方メートルとされています。
工事完了後、同社は電気事業法に基づく検査を終えるとともに、2025年8月20日付で経済産業大臣へ「発電事業変更届出書」を提出しました。河川、導水設備、発電所用地、送電系統などの既存インフラを生かしながら主要設備を更新することで、新たな大規模開発を伴わずに設備信頼性と発電効率を高めた案件です。
既設設備の高度化で再エネ容量を積み上げ
水力発電は、太陽光や風力と比べて出力を予測しやすく、長期にわたって運用できる再生可能エネルギー電源です。一方、運転開始から長期間が経過した発電所では、老朽化対策と保守性の向上が継続運転の前提になります。今回の更新は、設備寿命を延ばすだけでなく、同じ水資源から得られる電力量を増やすリパワリングの事例となります。
北陸電力グループは新中期経営計画で、再生可能エネルギー発電所の出力を2030年代早期までに2018年度比で100万kW以上拡大する目標を掲げています。既設水力発電所の改修や既存設備の有効活用を通じた出力増加は、新規地点の開発と並ぶ重要な手段です。設備更新によって生じる年間約70万kWhの増分は、追加の燃料を必要とせず、既存の水資源をより効率的に電力へ変換して得られる点にも特徴があります。明島発電所の180kW増強は規模こそ限定的ですが、年間を通じて発電できる既設電源を着実に高度化する取り組みとして位置付けられます。