EnergyTag、アワリーマッチングへの異議に反論、「統合コストでも再エネは優位」
EnergyTag、アワリーマッチングへの異議に反論、「統合コストでも再エネは優位」
- 2027年改訂予定のGHGプロトコルScope2ガイダンスの厳格化で再エネ供給に大きな影響が見込まれます。
- 激変緩和措置として多くの例外規定が検討されています。
- 当社は独自に最新情報を分析し、皆様にアドバイザリー・サービスを提供しています。
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GHGプロトコルScope2改定において、アワリーマッチング導入の議論を主導する団体の1つが英国に本拠を置く非営利国際組織のEnergy Tagで、当社も会員として加入してます。
早期のアワリーマッチングの導入に関しては、まだまだ予断を許さず、GAFAMの一角を含め、多くのステークホルダーがその性急な導入に反対しています。
そのような中、Energy Tagが1月12日に会員向けに発信したニュースレターが注目を集めています。そこで、その中身を前回に続き読み解きます。
今回は、アワリーマッチングが経済的にも合理性を持ち始めているという主張を整理します。
主張の概要:統合コストでも再エネは優位(翻訳・要約の文責は当社)
国際エネルギー機関(IEA)の分析によれば、風力、太陽光、蓄電池を組み合わせたハイブリッド再エネによるアワリーマッチングは、すでに多くの国で、一般的な産業用小売電力料金や年次マッチングとコスト面で競合可能な水準に近づいています。
その理由は明確です。ハイブリッド再エネはまず、太陽光や風力の「取りやすい時間帯」という低コスト領域を最大限活用し、そこから不足分を蓄電池や柔軟性資源で補完することで、段階的にマッチング率を高めていく手法を取ります。
年次マッチングで約80%程度まで達するのと同様のプロセスを、時間単位で再現しつつ、99%以上のアワリーマッチング率を目指す設計が現実になりつつあります。
この点で、アワリーマッチングに反対する議論は、突き詰めれば「再エネ、蓄電池、柔軟性資源の統合コストは将来にわたって十分に発展せず、クリーンで安定した電力供給は化石燃料に依存せざるを得ない」という前提に立っています。しかし、IEAの分析は、この見方に強い疑問を投げかけています。
実際、オーストラリア、インド、米国などでは、ハイブリッド再エネによる時間単位での調達モデルがすでに登場しており、今後は規模拡大が課題となっています。GHGプロトコルにおいて大口需要家にアワリーマッチングを求めるルールが導入されれば、こうした新しい電源構成に対する需要が生まれ、現在なお残るプレミアムを市場メカニズムで吸収する役割を果たすと考えられます。
さらに重要なのは、系統全体への影響です。IEAや Transition Zero の分析では、アワリーマッチングを前提とした調達ポートフォリオは、年次マッチング型よりも系統に対して高いシステム価値をもたらすことが示されています。

年次マッチングでは、発電と消費の時間的不整合によって調整力や予備力が必要となり、そのコストは最終的にすべての需要家が負担することになります。
一方、アワリーマッチングを採用する企業は、必要な調整やファーミングのコストを自らの調達設計の中で内部化します。その結果、企業自身が「系統に配慮した需要家」となり、全体としてより効率的でアフォーダブルな電力システムが実現します。
IEAが示した図表でも、時間整合性の高いポートフォリオほど、系統価値が大きく向上することが強調されています。これは、企業の再エネ調達が単なる環境主張にとどまらず、一日を通じた信頼性のあるクリーン電力を系統に供給する行為へと進化していることを意味します。
次回以降も、引き続き、EnergyTagニュースレターの内容を紐解いてまいります。
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