【解説】GX-ETSと非化石証書制度の整合性確保と将来像

(この文章はAIを利用して作成しています。)

再生可能エネルギーを促進するためのエネルギー政策は、歴史的に三つの異なる発想から発展してきました。

第1は、電気事業者に一定割合の再エネ調達を求めるRPO制度です。ここでいうRPOは「Renewable Purchase Obligation(再エネ購入義務)」で、日本や米国のRPS英国のRenewables Obligationに近い考え方です。

第2は、需要家がグリーン電力証書欧州のGO(Guarantee of Origin)などの環境属性証書を自主的に購入し、再エネを支える仕組みです。

第3が、排出総量に上限を設け、排出枠を売買するキャップ・アンド・トレードです。

クオータは「何を一定量調達させるか」、証書は「誰が環境価値を主張できるか」、ETSは「誰が何トン排出したか」を扱っており、本来は別の制度です。(エネ庁)

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日本で重なった三つの仕組み

日本では2001年度、その時点でRPO導入に後ろ向きであった電力会社による次善の策として、民間事業者による自主的な仕組みとしてグリーン電力証書制度が始まり、その後2003年にはRPS制度が導入されていきました。ちなみにその経緯から、当初の所管はエネ庁省エネ新エネ部でした。

RPSは電気事業者に販売電力量に応じた新エネルギー利用を義務づけましたが、2012年7月のFIT導入に伴って廃止されました。

続いて2017年度に非化石価値取引市場が創設され、2018年5月にFIT非化石証書の初回取引が行われました。(経済産業省)

現在の非化石証書は、一定規模以上の小売電気事業者が2030年度に非化石電源比率44%以上を目指す、高度化法上の義務履行に使われます。

その一方、2021年11月には需要家もFIT証書を直接購入できる再エネ価値取引市場が始まり、義務達成市場と自主調達市場が目的別に分けられました。

したがって制度は、本質的には、RPS的な義務履行と、需要家による自主的な証書購入という二つの機能を兼ね備えています。ただし、非化石証書はすべてが再エネ証書ではなく、原子力などを含む「非再エネ指定」の証書もあります。(経済産業省)

GX-ETSとの併存は「二重取り」なのか

これに対し、2026年度に本格稼働したGX-ETSは、直近3年度平均の直接排出量が10万t-CO₂以上の事業者を対象とし、毎年度の実排出量に対応する排出枠の保有を求めます。

割当量を上回って削減した事業者は余剰枠を売却でき、排出の多い事業者は不足分を購入します。

ただし、再エネ発電事業者がETSから直接代金を受け取るわけではありません。ETSが火力発電の排出コストを高め、証書やクオータ制度が非化石電源に別の需要をつくるため、同じ脱炭素方向に複数の価格シグナルが重なる構造です。(経済産業省)

欧州でも、EU ETSが始まった2005年前後から、再エネ義務やグリーン証書との「二重規制」、費用効率、排出枠価格への影響が議論されてきました。

固定されたキャップの下で追加的に再エネを増やしても、排出枠需要と価格が下がり、別の主体の排出余地が増えるだけではないかという「ウォーターベッド効果」です。

EUは三制度を一つに統合せず、EU ETS、再エネ目標・支援制度、GOを分けたまま運用してきました。

そのうえで、他の政策によって生じる排出枠の余剰を市場安定化リザーブ(MSR)で吸収する仕組みを設けています。

また、GOは原則として1MWhにつき一つだけ発行し、同じ電力を一度しか計上できません。補助対象電源については、GOの市場価値を支援額に適切に反映する原則も置かれています。つまり、同じ環境属性の二重主張は禁止しつつ、異なる政策手段の併用は認め、その重複効果を調整する考え方です。(Climate Action)

従って、非化石証書取引とGX-ETSは、欧州がそうであるようにその整合性を確保するための詳細な制度設計が重要となります。

今後の課題は時間粒度と空間粒度

上記の2つの制度の整合性確保に加えて、今後、さらなる課題が2つの制度に待ち構えています。

それは、上記やFIT政策による成果として再エネ導入がかなり進んだがために出てくる、時間と場所の偏在性をどう解消するかということです。

再エネ証書やRPOが導入された再エネが少ない時代には、年間を通じて導入量を増やすこと自体に大きな意味がありました。

しかし太陽光や風力が増えると、証書取引で言えば、昼間の九州で生まれた証書を夜間の東京の需要に引き当てても、再エネが不足する時間帯や地域への投資シグナルは生まれません。

この問題を受け、GHGプロトコルのScope 2改定案では、MBM(マーケット基準手法)に証書と需要の1時間単位の一致と、発電された電力が需要地点を含む系統に到達し得る「deliverability」を求める方向が示されています。

同様にLBM(地域基準手法)についても、利用可能な範囲で、より細かな地域・時間の系統排出係数を優先する案が提示されています。

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ただし最終決定では全くなく、2026年に公表された意見集約では、企業回答429件のうち82%が時間一致案に「支持なし・低支持」と回答しました。反対・懸念を示した回答者の86%が、データ管理、監査、費用負担を問題として挙げています。(GHGプロトコル)

限界削減効果をどう評価するか

仮に将来にこうした手法が導入された場合、排出係数といういわば絶対値での優劣比較だけでは十分ではありません。

仮定の話として、昼の系統には再エネがある一方で、夜は石炭火力しかない極端な状況を想定します。この時、再エネが導入できない次善の策としてLNG火力が新規に投入されたとしたら、その分石炭火力を代替できるのですから、系統全体の排出量は削減できる、いわばインセンティブを得られる側となります。

しかし、年間を通算しての算定では、LNGはペナルティを払う側となります。「その時間に石炭を代替した」という相対的な貢献に対して、プラスの排出枠が付与されるわけではありません。その結果LNGによる代替インセンティブが働かないということになります。

ただ、実はそう単純でもなくGX-ETSやEU ETSは、発電所や事業者の年間の直接排出量を管理しており、地域別・時間別の系統平均排出係数はここでは考慮の対象とはなっていません。

上記を限界削減効果というのですが、この効果を評価するには、時間・地域別の系統排出係数や限界排出量を、ETSとは別の影響評価指標として整備する必要があります。

GHGプロトコルも、企業の電力消費を配分するLBM・MBMという帰属的算定と、特定の調達行動が系統排出量をどれだけ変えたかを見る限界排出量などの結果的・影響的算定を分けて検討しています。(GHGプロトコル)

欧州はRFNBOから段階導入

では、欧州はどうかというと、そこまで「先進的」でもありません。欧州では一般のGOを一挙に時間一致へ移すのではなく、まず再生可能水素などのRFNBOについて、2029年末までは月次、2030年からは1時間単位の時間相関と、電力市場の入札ゾーンを基礎とする地理的相関を導入します。(EUR-Lex)

GX-ETS、非化石証書、再エネ調達義務の理想像は、発電量、需要量、証書、系統排出係数を共通の時刻・地域情報で結び、二重計上を防ぎ、価格シグナルの矛盾を小さくすることです。

アワリーマッチングは「第四の制度」というより、将来的なRPO的義務、環境証書、キャップ・アンド・トレードを整合させる共通データ基盤として位置づけるのが現実的であると言えるでしょう。

出典:

Ofgem「Renewables Obligation(RO)」

日本品質保証機構「グリーン電力証書の概要について」

資源エネルギー庁「再生可能エネルギー導入促進関連制度 改革小委員会 報告書」

e-Gov法令検索「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法」

資源エネルギー庁「2018年5月から始まる『非化石証書』で、CO₂フリーの電気の選択が可能に」

日本卸電力取引所「2018年度 事業の概要」

経済産業省「非化石価値取引について」

経済産業省「再エネ価値取引市場の創設と非化石価値取引について」

経済産業省「排出量取引制度」

European Commission「About the EU ETS」

European Commission「Market Stability Reserve」

European Commission「Study on Market Stability Measures」

EUR-Lex「Directive(EU)2018/2001, Article 19:Guarantees of Origin」

GHG Protocol「Public Consultation – Scope 2」

GHG Protocol「Scope 2 Public Consultation Summary of Feedback」

GHG Protocol「Consequential Electricity-Sector Emissions Impacts」

EUR-Lex「Commission Delegated Regulation(EU)2023/1184」

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