政府は2025年3月7日、洋上風力発電の設置区域を領海・内水から排他的経済水域(EEZ)へ拡大する再エネ海域利用法改正案を閣議決定した。広い海域を活用できる制度を整え、洋上風力案件の形成を加速する。
EEZに長期設置を認める新制度
現行制度は、国が促進区域を指定し、選定事業者へ最大30年間の占用を認める仕組みだが、対象は領海と内水に限られていた。改正案はEEZにおいて、国が募集区域を指定し、発電事業者へ設備設置に必要な許可を与える制度を新設する。事業者選定に当たっては、発電計画だけでなく、海洋利用者との調整、航行安全、環境保全などを確認する。領海外では水深が増すため、着床式に加えて浮体式洋上風力の事業機会が広がる。政府は2030年までに10GW、2040年までに30~45GWの案件形成を目標としており、EEZ活用は候補海域を確保する重要な制度基盤となる。
国主導の環境調査と合意形成が鍵
改正案には、洋上風力の環境影響評価について、国が初期段階の調査を担い、事業者へ情報を提供する仕組みも盛り込まれた。複数事業者による重複調査を減らし、案件形成の迅速化と調査品質の標準化を図る狙いがある。一方、EEZでは漁業、海運、安全保障、海洋環境など関係者と論点が広がる。浮体式設備の係留範囲や海底ケーブル、港湾・保守拠点の整備も必要だ。区域指定から事業者選定、環境評価、地元・利用者との合意形成をどの順序で進めるかが制度運用の成否を左右する。法整備だけでなく、長期的なサプライチェーンと地域便益の設計が求められる。
出典:経済産業省「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案を閣議決定」