経済産業省・資源エネルギー庁は、2026年7月28日、第2回電力事業環境整備ワーキンググループを開催し、改正電気事業法に基づく大規模電源・基幹系統向け融資制度の対象要件案を示しました。発電設備は原則として出力50万kW以上を対象とし、一定の場合には複数設備の出力を合算できる設計を検討します。
新制度は、国の財政投融資などを財源として、電力広域的運営推進機関が民間金融機関と連携し、大規模な電源や送電設備の整備・更新に資金を貸し付けるものです。建設から投資回収まで長期間を要し、民間金融だけでは資金調達が難しい案件を支援します。
50万kW以上を基本、一体的な設備は合算も
事務局は、電源融資の対象規模を原則50万kW以上とする案を提示しました。大規模発電事業者の要件や、安定供給への影響、建設期間中に収入が得られない一方で巨額の先行投資が発生する電源の特性を踏まえた水準です。
単独の発電設備が50万kWに満たない場合でも、複数設備が同一の整備計画の下で一体的に建設・運営されるなど、一定の関係性が認められる案件については、出力の合算を認める方向が示されました。ただし、互いに独立した小規模案件を形式的に束ねることまで広く認めるものではなく、合算可能な範囲や設備間の一体性は認定基準で具体化される見通しです。
対象となる電源種を特定の発電方式に限定するのではなく、供給力確保や脱炭素化への貢献、整備の必要性などを計画認定の過程で確認します。融資を希望する事業者は「発電等用電気工作物整備等計画」を作成し、経済産業大臣の認定を受けた上で、広域機関による融資審査を受ける必要があります。
融資割合や金利、損失負担は今後具体化
広域機関による貸付けは、民間金融機関との協調融資を基本とします。過去の制度検討では、公的融資を総融資額の3割程度とする考え方が示されてきましたが、今回の会合で個別案件に適用する融資割合、上限額、金利、期間などが最終決定されたわけではありません。案件規模や民間金融の参加状況を踏まえ、融資審査の枠組みを詰めます。
委員からは、公的資金を投入する以上、安定供給への貢献や支援の必要性を厳格に確認すべきだとの指摘がありました。事業者の財務状況、返済可能性、事業費の妥当性を評価するとともに、既存の長期脱炭素電源オークションなどによる収入との関係を整理する必要もあります。
一方、工事費の上昇や工期延長など、大規模電源特有のリスクをどこまで融資条件に織り込むか、貸付先が返済不能となった場合の損失負担をどう設計するかは継続検討となりました。国、広域機関、民間金融機関、電気事業者の間でリスク分担を明確にすることが課題です。
初回融資は2027年3月、案件形成を急ぐ
エネ庁は、改正法の施行準備、経済産業大臣による計画認定、広域機関の融資審査などを進め、第1号案件への融資を2027年3月に実行する工程を示しました。今後、省令、認定基準、申請書類、審査手続きなどを整備するとしています。
発電事業者には、設備容量だけでなく、総事業費、建設工程、長期収支、売電契約、容量市場収入、追加投資リスクなどを一体的に説明する事業計画が必要になります。金融機関との協調融資が前提となれば、広域機関への申請前からレンダーとの協議やデューデリジェンスを進める必要があります。
EPC事業者や機器メーカーにとっても、工事費と納期の確度、性能保証、遅延時の責任分担が融資判断に直結します。50万kW未満の案件は、合算要件に該当するかによって制度利用の可否が変わるため、開発主体や事業スキームの再検討が必要になる可能性があります。
出典
第2回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 次世代電力・ガス事業基盤構築小委員会 電力事業環境整備ワーキンググループ