【解説】インバランス料金制度とは?上限は300円へ見直し

【解説】インバランス料金制度とは?上限は300円へ見直し

インバランス料金は計画と実績の差を精算

インバランスとは、小売電気事業者や発電事業者が提出した30分単位の需要・発電計画と、実際の需要量・発電量との差です。

一般送配電事業者が調整力を使って需給差を埋め、その費用をバランシンググループ(BG)と精算します。現行制度では、調整力の限界的なkWh価格と「kW需給ひっ迫時補正インバランス料金」の高い方を採用します。補正料金は広域予備率が下がるほど上昇し、C値が上限価格、D値が広域予備率8%付近の料金水準を定めます。(経済産業省E-Governmentポータル)

欧州でも再エネ拡大に合わせ精算制度を整備

日本では2022年4月に現行制度が始まり、需要家側の小売事業者だけでなく、太陽光・風力などの発電事業者にも計画値同時同量が求められています。欧州連合も電力需給調整ガイドラインに基づき、各Balance Responsible Partyにインバランスの金銭的責任を負わせ、15分単位の精算や単一価格方式の調和を進めています。変動性再エネが増えるほど、実需給に近い時間まで取引できる時間前市場、蓄電池、デマンドレスポンスの重要性が高まります。(EUR-Lex)

暫定200円から300円へ、施行は10月1日

C値は制度開始時に暫定200円/kWhとされ、当初は2024年度から600円/kWhへ引き上げる計画でした。しかし小売事業者への急激な影響などを考慮し、2024、2025年度も200円を維持しました。その後の制度設計・監視専門会合では、容量市場の2025~2027年度約定価格の平均253円に従来のD値45円を加えた水準などを参考に、C値300円/kWh、D値50円/kWhとする整理が行われました。(経済産業省E-Governmentポータル)

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長期間の高騰に備え、直前7日間にエリアプライス200円/kWh以上が累積30コマに達した場合、補正料金の上限を一時的に100円/kWhへ下げる累積価格閾値制度も導入します。施行は当初の2026年4月から、JEPX時間前市場のエリア別情報公表に伴うシステム対応を理由に2026年10月1日へ延期されました。(経済産業省E-Governmentポータル)

東京で実際に現行上限200円へ到達

2026年7月22日の16時30分~17時、東京エリアの余剰・不足インバランス料金はともに税抜200.00円/kWhとなりました。補正料金算定インデックスは2.54%、調整力の限界的なkWh価格は36.96円/kWh、卸市場価格Pは75.41円/kWhでしたが、需給ひっ迫時補正料金が現行上限の200円に達し、最終価格を決めました。同じコマでは中部、北陸、関西、中国、九州が135.21円/kWh、四国が67.94円/kWhでした。(Imbalance Prices)

電力広域的運営推進機関は同日、高気温による需要増加で東京電力パワーグリッド管内の広域予備率が5%を下回る見通しとして、自家用発電設備の焚き増しと、発生した電力の時間前市場への入札を要請しました。今回の200円はスポット価格ではなく、需給計画を外した事業者に適用される精算単価です。(岡山県立図書館)

10MWh不足時の負担は200万円から300万円へ

不足インバランスが10MWh発生した場合、単純計算の精算額は200円/kWhでは200万円、300円/kWhでは300万円となり、1コマで100万円の差が生じます。家庭料金が直ちに300円/kWhになるわけではありませんが、固定価格メニューを提供する小売事業者には、需要予測の誤差や調達不足が収益を大きく圧迫する可能性があります。

2026年10月以降は、需要予測の高度化、時間前市場での早期調達、DR、蓄電池、自家発、相対契約の組み合わせが一段と重要になります。太陽光出力が低下する夕方や、猛暑・発電設備停止が重なる時間帯では、広域予備率と30分単位の補正料金算定インデックスを監視し、社内の調達権限や損失限度額を見直す必要があります。C値だけでなく、比較的発動頻度の高いD値が45円から50円へ上がることによる累積的な影響にも注意が必要です。

【参考】

2022年度以降のインバランス料金制度に関する建議(電力・ガス取引監視等委員会)

制度設計・監視専門会合(第7回)

制度設計・監視専門会合(第15回)

電力・ガス監視等委員会からの建議を受けた対応(経済産業省)

インバランス料金情報公表ウェブサイト

需給状況改善のための自家用発電設備焚き増しのお願い(電力広域的運営推進機関)

EU電力需給調整ガイドライン(EUR-Lex)

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【2026年7月23日記事】

東京電力パワーグリッドなど一般送配電事業者9社は、2026年7月23日、前日22日分のインバランス料金単価を発表しました。東京エリアの16時30分~17時は、余剰・不足とも税抜200.00円/kWhとなり、7月23日8時36分更新の公表ファイルで7月の最高値を更新しました。前日21日の最高値142.96円/kWhから57.04円、率にして39.9%上昇しました。

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同じ30分枠では、中部、北陸、関西、中国、九州の5エリアが135.21円/kWh、四国が67.94円、東北が18.34円、北海道が14.29円でした。100円を超えたのは東京を含む6エリアです。東京は直前の16時~16時30分も159.08円、直後の17時~17時30分も146.93円となり、15時30分~19時30分の8コマ、計4時間にわたって100円を上回りました。公表単価はすべて税抜です。(Imbalance Prices CS)

需給ひっ迫時補正が200円を形成

インバランスとは、小売電気事業者や発電事業者などが提出した需要・発電計画と、実際の需要量・発電量との差分です。一般送配電事業者が調整力を使って不足や余剰に対応し、その費用を事業者と精算します。日本卸電力取引所(JEPX)のスポット価格そのものではなく、「計画値同時同量」を達成できなかった際の精算単価です。(Imbalance Prices CS)

算定根拠ファイルによると、東京の当該コマの補正料金算定インデックスは2.54%でした。調整力の限界的なkWh価格は36.96円/kWh、卸市場価格Pは75.41円でしたが、需給ひっ迫時補正インバランス料金単価が200.00円に達しました。現行制度では、補正料金算定インデックスが10%未満の場合、限界的なkWh価格と需給ひっ迫時補正単価を比較し、高い方を最終単価に採用します。今回は需給余力の低下を反映する補正単価が価格形成を主導しました。(Imbalance Prices CS)

高気温で予備率5%割れ、焚き増しを要請

電力広域的運営推進機関(OCCTO)は22日、高気温による需要増加で東京電力パワーグリッド管内の広域予備率が5%を下回る厳しい見通しとしています。自家用発電設備を保有する会員に出力の引き上げを求め、JEPX会員には焚き増しで生じた電力を時間前市場へ入札するよう要請しました。対象時間は16時30分~17時30分で、200円を付けた時間帯と重なります。(オクト)

東京エリアの22日の48コマ平均は46.69円/kWhでした。21日の38.58円から21.0%上昇し、20日の20.46円と比べると2.28倍です。一時的な1コマの急騰にとどまらず、夕方を中心に高値の継続時間が延びたことで、日平均も押し上げられました。

10MWhの不足で200万円、事業者の管理負担増

200円/kWhは、1MWhの不足インバランスなら単純計算で20万円、10MWhなら200万円の精算額に相当します。家庭の電気料金が直ちに200円/kWhになるわけではありませんが、需要予測を外した小売電気事業者や、発電量が計画を下回った発電事業者、アグリゲーターの収益を圧迫する可能性があります。

高温と太陽光発電の出力低下が重なる夕方には、需要予測の精緻化、時間前市場での追加調達、デマンドレスポンス、蓄電池や自家発電設備の運用が一段と重要になります。高気温が続けば、需要の増加や発電設備のトラブルを契機に高単価が再発する可能性があり、広域予備率と30分単位の補正料金算定インデックスを注視する必要があります。

出典 インバランス料金情報公表ウェブサイト「2026年7月料金単価CSV」

インバランス料金情報公表ウェブサイト「2026年7月算定根拠CSV」

東京電力パワーグリッド「インバランス料金単価」

電力広域的運営推進機関「需給状況改善のための自家用発電設備焚き増しの協力依頼」

インバランス料金情報公表ウェブサイト「よくあるご質問」

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