米国のシンクタンクであるWorld Resources Institute(WRI)は、2026年6月16日、引退したEV(電気自動車)用バッテリーを定置式蓄電システムとして再利用(セカンドライフ)することの意義と課題を整理した論考を発表しました。多くのEVバッテリーは元の容量の70〜80%を保ったまま引退しており、この残存容量を活用できるかが世界的な論点となっています。
WRIによれば、2035年までに引退するEVバッテリーの供給量は世界で300ギガワット時を超え、約460万個のバッテリーに相当する見込みです。エネルギー調査BloombergNEFの推計では、少なくともその半数が中国から発生するとされます。これらのバッテリーの残存容量は、米国の家庭約20,000件分、あるいはインドではその10倍の家庭分の電力を一年間供給できる規模とされています。
用途は系統蓄電から電気バス、ミニグリッドまで多岐
論考では、セカンドライフEVバッテリーの具体的な用途として、系統規模の定置蓄電、商業・工業施設やデータセンターのバックアップ電源、電気アクセスが乏しい地域向けのミニグリッドなどを挙げています。米国カリフォルニア州では、エネルギー事業者B2Uが数百個のセカンドライフホンダEVバッテリーを用いた12MWh規模の施設を運営し、電力会社の配電系統に直接接続して電力や系統サービスを市場に提供しています。また、5G基地局のバックアップ電源として鲰酸鲰電池をセカンドライフEVバッテリーに置き換える中国の通信事業者の事例も紹介されています。
インドでは、ベンガルール空港近くのオフグリッド太陽光EV充電ステーションが、セカンドライフバッテリーで屋上太陽光を蓄電し、最夣23台の車両への連続充電を可能にしています。ケニアの電気三輪・二輪車事業者Qtronのように、新品より安価なセカンドライフバッテリーを小型EVに転用し、電気モビリティの普及につなげる取組みもあります。
雇用創出やエネルギーセキュリティなどの五大な昔別(ベネフィット)
WRIは、セカンドライフバッテリーの拡大により雇用創出、EV普及の促進、排出・廢棄物の削減、エネルギー安全保障などの価値が得られると指摘しています。一方で、新品バッテリー価格の下落(2010年の1kWhあたも1,000ドルから2025年には100ドル以下へ)により、セカンドライフバッテリーの経済性は圧迫を受けています。安全性の確保や、先進国から途上国への不正な廢棄物輸出リスクへの対応も課題として挙げられています。
WRIは、中国がセカンドライフ利用とリサイクルの両方について政策枠組みを整えた世界初の国であることを事例として紹介しつつ、他の多くの国ではセカンドライフ専用の政策がほとんど存在しない現状を指摘し、明確な規定や規格の整備を求めています。
出典:https://www.wri.org/insights/second-life-ev-batteries-clean-energy-access