経済産業省は、2026年8月5日、第1回指定PETボトルの資源循環に関する検討会を開催しました。会合では、使用済みPETボトルを巡る市場環境の変化を踏まえ、容器包装リサイクル法に基づく指定PETボトルの資源循環制度について検討を開始しました。
事務局は、近年のボトルtoボトル需要の拡大や再生PET市場の変化を受け、現行制度が直面する課題を整理するとともに、容リ法ルートによる安定的な資源循環と国内循環の維持を両立する制度設計の必要性を説明しました。 (経済産業省)
PETボトル市場は新たな局面へ
日本のPETボトル資源循環が世界的にも高い回収・再資源化率を実現してきた一方、市場環境は大きく変化していると説明がなされました。
近年は飲料メーカーによるボトルtoボトル需要が急速に拡大し、食品用途向け再生PET樹脂への需要が高まっています。また、海外市場やバージンPET樹脂価格の変動、再生材需要の増減が国内市場にも影響を及ぼし、従来の入札制度だけでは対応しきれない局面が生じつつあると整理しました。(三井住友銀行)
さらに、自治体による独自処理や直接契約も増加しており、容器包装リサイクル法ルートを流通する指定PETボトルの位置付けも変化しています。事務局は、資源循環全体を維持しながら国内の再生能力を確保する視点が重要になると説明しました。(三井住友銀行)
落札結果を分析、制度設計の基礎データを提示
続いて、容器包装リサイクル協会が実施する再商品化入札の落札結果などについて分析結果が示されました。
事務局は、落札価格や落札事業者の構成、地域別の状況などを整理し、価格形成が市場環境や再生PET需要の影響を強く受ける構造になっていることを説明しました。単年度の価格変動だけでは制度を評価できず、国内循環の維持や設備投資の継続可能性も含めた中長期的な視点が必要であるとしました。(経済産業省)
また、価格だけを評価軸とすると、将来的な国内再資源化能力や品質確保への影響も考えられるため、資源循環政策としてどのような評価軸を採用するかが重要な論点になると整理しました。(経済産業省)
「国内循環」と「市場原理」の両立を提示
また、本検討会設置の背景として、サーキュラーエコノミーへの移行、再生材利用拡大、脱炭素政策との整合が説明されました。
PETボトルは高品質な水平リサイクルが可能な代表的資源であり、国内で安定的に循環させることは資源安全保障やGX政策とも関係します。一方、市場原理を過度に制約すれば効率性を損なう可能性もあるため、制度設計では競争性と安定供給をどう両立するかが重要になるとの考えが示されました。(経済産業省)
委員からは価格だけでなく循環全体の評価を求める意見
委員会からは、落札価格だけを政策評価の基準とすることには慎重な意見が相次ぎました。国内リサイクル能力、ボトルtoボトルの実現可能性、自治体・再商品化事業者・飲料メーカーそれぞれへの影響を総合的に評価すべきとの指摘がありました。(経済産業省)
また、再生PET需要の増加を前提に制度を設計する場合でも、市況変動時に制度がどの程度耐えられるかを検証する必要があるとの意見や、地域間の物流コスト、設備更新、人材確保まで含めた分析を求める声も示されました。(経済産業省)
制度改正は今後の検討課題、初会合では結論持ち越し
今回の会合は、制度改正の方向性や具体的な制度案を決定するものではなく、課題認識について委員から意見を聴取し、今後さらに制度設計を深めることとなりました。
入札制度の見直し、評価指標、国内循環の維持策などは継続審議となります。現時点で募集条件や制度改正時期、具体的な規制内容は決定していません。(経済産業省)
飲料メーカーから再商品化事業者まで幅広く影響
今後の制度設計は、飲料メーカー、再商品化事業者、自治体、リサイクラー、樹脂メーカー、物流事業者など幅広い事業者に影響する可能性があります。
飲料メーカーではボトルtoボトル用再生PETの安定確保が重要課題となり、再商品化事業者には設備投資や品質管理、長期契約の在り方が影響を受ける可能性があります。
自治体にとっても、指定法人ルートと独自処理の役割分担や資源価値の考え方を改めて整理する必要があります。
金融機関にとっては、再生PET設備への長期投資やプロジェクトファイナンスを検討する際、制度変更が事業収支へ与える影響を慎重に見極める必要があります。
EPC事業者や機器メーカーも、国内リサイクル設備の更新需要や能力増強計画が今後の制度議論に左右される可能性があります。
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