経済産業省は、2026年7月30日、第35回電力安全小委員会で、同月24日に公布された改正電気事業法を説明しました。法律第68号は7月17日に国会で成立しており、今回の会合は成立済みの制度枠組みを報告したものです。主な規定は、一部を除き公布から9カ月以内に政令で定める日に施行されます。
改正は、大規模送電線・大規模電源への資金支援、電力市場と小売事業の規律強化、太陽電池発電設備などの安全性向上が柱です。制度の骨格は法律で確定しましたが、太陽光の対象設備や確認手続きの細目は省令・告示で今後具体化されます。
大規模電源の整備を融資、休廃止は事前協議
一般送配電事業者、送電事業者、大規模発電事業者は、送電設備や大規模電源の整備・更新計画について経済産業相の認定を受け、電力広域的運営推進機関から資金の貸付けを受けられるようになります。大規模発電事業者には、一定規模以上の電源を休止・廃止する前に、一般送配電事業者または配電事業者と協議する義務も設けます。
小売分野では、登録後1年以内に事業を始めない、または1年以上休止した事業者を登録取消しの対象に追加します。中長期市場と需給調整市場を開設する卸電力取引所は、経済産業相の指定・監督を受ける仕組みに変わります。
太陽光支持物を着工前に第三者確認
太陽電池発電設備は、設備量が10年間で約6倍に増え、発電設備別の事故報告件数でも最多となっています。現行制度では、10kW以上50kW未満と50kW以上2,000kW未満の設備に、区分に応じて使用前自己確認結果の届出が課されています。改正法は、設計不備による支持物の倒壊や飛散を防ぐため、省令で指定する設置・変更工事を工事前の適合性確認に加えます。
対象工事では、登録適合性確認機関の証明書を着工前に経済産業相へ提出します。荷重・外力に対する構造耐力だけを評価する設備は、土木・建築分野の学歴と実務経験などの要件を満たす評価員2人以上で確認できます。一方、経済産業相が荷重・外力に対して安全と指定する構造に該当し、証明書類を提出する場合は確認を省略できます。
事故後の是正では、メーカー、輸入販売事業者、工事業者に、設置者への協力努力義務を課します。協力しないことで是正に著しい支障が生じた場合、経済産業相は勧告し、正当な理由なく従わなければ公表できます。
省令の対象範囲と移行措置が焦点
成立済みなのは制度の枠組みです。新たに対象となる出力、設置形態、変更工事の範囲、提出書類、指定構造、既着工案件の経過措置は未確定です。今回の公開資料で示されたのは改正法の概要で、個別ルールの決定ではありません。
発電事業者とEPC事業者は、地盤、基礎、架台の構造計算と図面を早期に固め、第三者確認の費用と期間を工程や請負契約に織り込む必要があります。金融機関との協議でも、確認証明書や経過措置が融資実行条件、運転開始時期に影響する可能性があります。メーカーと施工会社には、事故時に設計資料や施工記録を提示できる文書管理と責任分界の再点検が求められます。
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