SKハイニックスは、2026年7月29日、2026年4~6月期の連結業績を発表しました。
売上高は前年同期比257%増の79兆3187億ウォン、営業利益は557%増の60兆5426億ウォン、純利益は1242%増の93兆9226億ウォンとなり、いずれも四半期として過去最高を更新しました。営業利益率は前年同期の41%から76%へ35ポイント上昇しています。 (SK hynix Newsroom)
前四半期の2026年1~3月期と比べても、売上高は51%、営業利益は61%、純利益は133%増加しました。2025年4~6月期の売上高22兆2320億ウォン、営業利益9兆2129億ウォン、純利益6兆9962億ウォンから、わずか1年で収益規模が大きく変化しています。2026年上期の累計売上高も、同社として初めて100兆ウォンを超えました。(SK hynix Newsroom)
一方、純利益が売上高と営業利益を上回る異例の数値となっていますが、今回のニュースリリースでは、その詳細な発生要因は示されていません。決算数値はK-IFRSに基づく速報値で、独立監査の終了前であり、今後変更される可能性があるとされています。投資判断では、後日公表される財務諸表で営業外損益、金融資産評価、持分関連損益などを確認する必要があります。(SK hynix Newsroom)
HBMとサーバー向けDRAMが利益成長をけん引
業績拡大の中心となったのは、生成AIサーバーに使われる高帯域幅メモリー「HBM」、AIサーバー向けDRAM、企業向けSSD「eSSD」です。DRAMとNAND型フラッシュメモリーはいずれも前四半期比で価格が大幅に上昇し、高付加価値製品への販売構成の転換が利益率を押し上げました。(SK hynix Newsroom)
同社の主力製品であるDRAMは、演算中のデータを一時的に保持するメモリーです。中でもHBMは複数のDRAMチップを垂直に積層し、高速・大容量でGPUとのデータ転送を行います。生成AIの学習や推論では、演算能力だけでなくメモリー帯域が性能を左右するため、HBMはNVIDIAなどのAIアクセラレーターに不可欠な部品となっています。
SKハイニックスは第2四半期に次世代製品「HBM4」の量産出荷を開始し、2026年下期に生産を拡大します。HBM4は顧客が求める動作速度に加え、電力効率とコスト競争力を重視した製品です。後継となるHBM4Eも上期中にサンプル出荷を終えています。AIデータセンターではメモリーの消費電力と発熱が運営コストを左右するため、性能当たり消費電力は製品採用における重要な競争要素になります。(SK hynix Newsroom)
このほか、AIサーバー向けメモリーモジュール「SOCAMM2」の販売が第2四半期に大きく増加し、10ナノメートル級第6世代「1c」プロセスを使用した製品の出荷も本格化しました。NANDでは321層製品が生産量の最大構成となり、年末までに韓国内の生産能力の約50%へ広げる計画です。(SK hynix Newsroom)
約10社と長期供給契約、供給力が競争軸に
AIモデルの大規模化とエージェント型AIの普及により、HBMだけでなく通常のサーバー用DRAMやNANDの需要も増えています。SKハイニックスは主要顧客を含む約10社と長期供給契約を締結し、ほかの大手顧客とも複数年契約を協議しています。需要が供給能力を上回る環境では、単純な製品性能だけでなく、必要数量を安定して供給できる歩留まりと生産能力が差別化要因になります。(SK hynix Newsroom)
同社はM15X工場の量産開始を前倒しするほか、2027年初めに予定する龍仁半導体クラスター第1期クリーンルームの稼働後、生産能力を迅速に拡大する方針です。先端パッケージ施設「P&T7」、NAND生産拠点「M17」、新たな半導体クラスターについても、顧客需要と投資効率を確認しながら段階的に進めるとしています。(SK hynix Newsroom)
財務面では、2026年6月末の現金および現金同等物が前四半期末から33兆6000億ウォン増加して88兆ウォンとなりました。有利子負債は7000億ウォン減の18兆6000億ウォンで、実質的なネットキャッシュは69兆4000億ウォンです。巨額の工場・製造装置投資を続けながらも、財務余力は大幅に改善しています。(SK hynix Newsroom)
最高益でも株価下落、市場期待の高さがリスク
フィナンシャル・タイムズは、営業利益が約6.6倍に拡大した一方、市場予想の約64兆ウォンに届かなかったとして、決算発表後に株価が約9%下落したと報じました。ロイターも、記録的な利益だけでは、AI関連株の割高感や中国メーカーとの競争、ハイパースケーラーの設備投資継続性に対する市場の懸念を払拭できなかったと伝えています。(ファイナンシャル・タイムズ)
投資家にとっては、HBM4の量産拡大、顧客との長期契約、DRAM・NAND価格の上昇、強固なネットキャッシュが成長材料です。一方、現在の利益率にはメモリーの供給逼迫と価格上昇が大きく寄与しており、供給能力の増加、競合メーカーの歩留まり改善、中国勢の参入、AI設備投資の減速が起きた場合、価格と利益率が変動する可能性があります。
SKハイニックスはHBM、サーバー用DRAM、eSSD、先端パッケージを一体で提供できる製品構成と、主要AI半導体企業への供給実績を持ちます。今回の決算は、AI半導体市場で演算用GPUだけでなく、高速メモリーと電力効率、安定供給能力が企業価値を左右する段階に入ったことを示す内容です。ただし、過去最高益を織り込んだ市場期待も高く、今後は売上成長だけでなく、設備投資額、フリーキャッシュフロー、HBM4の量産歩留まり、長期契約価格の持続性が株価評価の焦点になります。
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