INPEXは「INPEX Vision 2035」で、2035年までに事業規模を60%拡大し、GHG排出原単位を2019年比60%削減する「60-60」を掲げています。2025~2027年の成長投資目標は1兆9,000億円です。2026年5月時点では、一部案件の期ずれを反映して同年の成長投資を8,000億円と見込み、石油・天然ガスを主軸に、CCS・水素、再エネ・電力を三つの成長軸として育てます。
LNGを基盤に低炭素・電力へ展開
最大の成長案件は、豪州イクシスLNGの拡張と2030年代初頭の生産開始を目指すインドネシアのアバディLNGです。低炭素分野では、LNGとCCSを組み合わせ、第三者向けCO2削減サービスやクリーン水素を収益化します。電力では、地熱・洋上風力など強みのある再エネに、蓄電池と将来の水素・CCS対応を視野に入れたガス火力を組み合わせ、データセンターなど電力多消費産業への供給機会を狙います。2035年には製品・サービスを通じ年820万トン程度の排出削減貢献を目標とします。
油価感応度と大型案件の実行力
投資上の強みは、イクシスの操業キャッシュフロー、LNGの開発・販売能力、地下評価技術をCCSや地熱へ転用できる点です。一方、利益は原油価格と為替への感応度が高く、アバディのFID、建設費、産ガス国との調整、イクシスの保守停止が業績を左右します。2026年度は累進配当と総還元性向50%以上を維持する方針ですが、投資額が急増するため、案件取得と財務規律の両立が重要です。再エネ・電力も一律拡大ではなく、蓄電池やガスとの統合で収益性を示せるかが評価点になります。