【モビリティ・エネリンク構想】国交省、インフラでエネルギー自律性向上へ 11月に基本方針・ロードマップ

国土交通省は、2026年7月29日、社会資本整備審議会環境部会・交通政策審議会交通体系分科会環境部会エネルギー・経済安全保障小委員会の第1回合同会議を開催し、「モビリティ・エネリンク構想」の基本的な考え方と重点施策を議論しました。道路、鉄道、港湾、空港、ダム、上下水道、住宅・建築物などを発電・輸送・需要の基盤として活用し、脱炭素化とエネルギー安全保障、民間投資の拡大を同時に進める構想です。

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出典:国土交通省「エネルギー・経済安全保障小委員会 第1回合同会議」資料2・資料3を基に作成

「3C」でつくる・つなぐ・つかう

事務局は、構想の中核をCreate、Connect、Consumeの「3C」と整理しました。Createでは、道路、ダム、上下水道、住宅、鉄道、港湾、空港などの空間を活用し、ペロブスカイト太陽電池、洋上風力、小水力、水素などの供給力を増やします。Connectでは、再エネ・新エネの供給地と需要地を船舶や自動車などで結び、EV商用車のバッテリー交換拠点や水素ステーションなどの結節機能を整備します。Consumeでは、自動車、船舶、航空、鉄道で代替燃料や電力を使い、住宅・建築物でもエネルギー効率を高めます。

政策目的は、①エネルギー・重要鉱物の自給率向上と調達多角化、②モビリティ・インフラ事業の採算性向上、③日本経済の成長力向上の「三方よし」です。再エネの地産地消による地域内経済循環、分散電源による防災力向上、燃料費や送配電コストの削減も効果として挙げました。ただし、第1回資料は方向性を示す段階で、構想全体のKPI、官民投資額、エネルギー自給率への寄与は未設定です。

5年回収の事業モデル案、支援の追加性が論点

事務局のキャッシュフロー例では、官民の初期投資支援を受けた事業が約5年間で投資を回収し、その後の収益改善を事業主体に帰属させる姿を示しました。回収財源には、再エネ発電の売電収入、EV商用車への転換による燃料費削減、燃料電池商用車への燃料価格差支援などを例示しています。事業費の一部を「公共貢献」相当として支援する案や、国、自治体、公物管理者、企業、エネルギー事業者を束ねるコンソーシアムも検討対象です。

制度化される場合、道路・港湾・空港などの管理者には遊休空間の収益化、交通・物流事業者には燃料費削減、設備・エネルギー事業者には案件形成の機会が生まれる可能性があります。一方、公的支援が既存の補助制度や再エネ支援と重複すれば二重回収につながりかねません。公共貢献の評価方法、競争的な案件選定、支援終了後の採算性、電力系統増強費や水素供給網を含む総コストの検証が必要です。

洋上風力6.3GW、SAF10%など既存目標を接続

参考資料では、2026年7月時点で一般海域・港湾区域に約6.3GWの洋上風力案件が形成され、基地港湾7港のうち4港が整備済みとされました。浮体式は2029年度をめどに大規模案件を形成し、2040年までに15GW以上を目指します。自動車では2035年までに乗用車新車販売を電動車100%、2030年までに小型商用車を20~30%とする目標を掲げ、SA・PAや道の駅の急速充電器、商用電動車の劣化バッテリー再利用を施策例に挙げました。

航空分野では、化石ジェット燃料比で約60~80%のCO2削減効果があるSAFへ、2030年時点の国内航空会社の燃料使用量の10%を置き換える目標です。2025年5月に国内供給を始めた国産SAFの製造規模は年約3万klで、世界の2025年生産量約240万klはジェット燃料消費の0.6%にとどまります。海事ではアンモニア燃料船を2026年、水素燃料船を2028年から実証運航する計画です。鉄道では2030年代に2013年度排出量1,177万tの46%相当を削減し、JR3社が水素燃料電池車両を開発しています。

11月に中間報告、企業ヒアリングで施策を具体化

小委員会は月1回程度開き、8月18日の第2回で関連企業ヒアリングと重点施策の深掘りを行います。9月の第3回では追加ヒアリングとロードマップ案を議論し、11月の第4回で基本方針、具体策、ロードマップを中間報告として取りまとめます。2027年以降も第5回以降を開催し、継続審議する予定です。

公開資料には現時点で議事録、議事要旨、公式動画の文字起こしが掲載されておらず、委員個人の賛否や修正意見は確認できません。今後は、来年度、3~5年後、10年後の時間軸ごとに施策を定量化し、民間投資の追加性、費用対効果、既存制度との役割分担を明確にできるかが焦点となります。

出典

国土交通省「エネルギー・経済安全保障小委員会 第1回合同会議」

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