【再エネ出力制御】2035年北海道37%・中国23% 東京で初の抑制5日間、広域機関は妥当と評価~第12回次世代電力系統WG

資源エネルギー庁は、2026年8月6日、第12回次世代電力系統ワーキンググループをオンラインで開催し、再生可能エネルギー出力制御の実績と2035年の長期見通し、東京エリアで初めて実施された出力制御の検証結果を議論しました。事務局が示したベースケースでは、2035年の出力制御率は北海道37%、中国23%となり、前年度の試算より制御が増える方向のエリアが多くなりました。これは制度上の上限を決めたものではなく、一定の前提を置いた将来試算です。

image

2025年度実績では九州の出力制御率が5.8%でした。2026年度は4~5月、特に5月の九州で制御量が増え、事務局は好天による太陽光発電量の増加、揚水発電所の補修停止、域外送電の制約などが複合的に作用したと説明しました。東北と九州を対象に日射量と制御量の関係も分析しましたが、両者は強く相関する一方、日射量だけでは説明できず、連系線の利用状況や他電源の稼働状態を含む検証が必要だと整理しました。

2035年、北海道37%から系統対策で24%へ

長期見通しは「出力制御の公平性の確保に係る指針」に基づく毎年度の試算です。2035年のベースケースに加え、①蓄電池などで需要を最小需要の1割相当創出する需要対策、②火力の最低出力を30%まで引き下げる供給対策、③地域間連系線を増強する系統対策を個別に織り込み、制御率がどこまで下がるかを比較しました。北海道は系統対策によって37%から24%へ低下する一方、中国・四国・九州では、晴天時に隣接エリアでも太陽光が余り、連系線を増強しても受け皿が限られる可能性が示されました。

優先給電ルールの見直しを踏まえた参考試算では、2035年のFIP電源比率を25%と仮定しました。FIT電源よりFIP電源を後順位で制御する前提により、FIP電源の制御率は大幅に低下します。ただし、25%は前年試算を踏襲した仮置きで、事務局は10年後の比率として十分な検証ができていないと説明しました。FIP移行の効果と蓄電池併設の効果が試算上どのように分離されているかも、その場では確認できず、一般送配電事業者に照会して報告することになりました。

東京は前日余力60万kWから当日180万kW制御へ

東京電力パワーグリッドは、東京エリアの太陽光連系量が2026年3月時点で約2,300万kW弱に達し、近年は年約100万kW、約5%のペースで増えていると報告しました。3月1日は、前日時点では再エネ抑制まで約60万kWの余力があり、制御不要と見込んでいました。しかし当日朝には需要想定が前日より約120万kW減り、太陽光想定が約60万kW増えたため、約115万kWの制御が必要との判断に変わりました。

実績では前日想定に比べ需要が約200万kW減少し、太陽光出力が約150万kW増加しました。このためオンライン事業者を中心に約180万kWを制御しました。当日朝の急変だったため、対応可能なバイオマス事業者には電話で抑制を依頼し、ゲートクローズ時にはオンラインの太陽光・風力へ制御指令を出しました。東京では3月に計5日間の抑制があり、3月4日には前日からオフライン事業者にも通知しています。

電力広域的運営推進機関は、需給予測の妥当性、太陽光・風力に先立つ優先給電ルールの実施、他電源を抑制してもなお再エネ制御が必要だったか、という3点を日別に確認しました。その結果、3月の5日間はいずれも下げ調整力不足を回避するための措置として適切だったと評価しました。東京電力PGは今後、物理モデルに加え機械学習を用いる予測モデルの導入準備を進めます。

委員は要因分解と感度分析を要求

坂本織江委員(上智大学准教授)はFIP比率25%の根拠を質問し、導入が進んだ段階では複数比率による感度分析を行うよう求めました。岩船由美子委員(東京大学教授)は、2026年度に制御量が増えた要因を定量分解し、発電事業者の予見可能性につなげる必要があると指摘しました。北海道では連系線増強効果が大きいのに、中国・四国・九州では小さい理由や、FIP移行と蓄電池併設の効果の切り分けも確認を求めました。

後藤美香委員(東京科学大学教授)は、東北と九州では制御発生のメカニズムが異なるため、地域別ボトルネックを特定して対策を組み立てるべきだと述べました。松村敏弘委員(東京大学教授)は、出力制御時間帯の連系線分断率や利用率なら比較的早く取得でき、域外へ送れない原因の把握に使えると提案しました。事務局は、取得しやすい指標を手掛かりに追加分析を行う考えを示しました。

会合では長期見通しや東京の検証結果に異論はなく、報告として受け止められました。一方、算定前提の妥当性、制御増加の要因分解、系統増強効果、FIPと蓄電池の効果分離は継続検討です。発電事業者にとっては、エリア別制御率が売電量、FIP収入、蓄電池併設の採算、金融機関の発電量査定に直結します。単一の制御率だけでなく、前提と感度を織り込んだ事業収支の再検討が必要になります。

出典

第12回次世代電力系統ワーキンググループ

ニュース記事一覧へ>>