大林組は2024年8月27日、青森県東通村岩屋の沖合約3kmに、洋上風力発電施設向けとして国内初となる緊張係留方式のTLP(テンション・レグ・プラットフォーム)型浮体を設置し、1年間の実海域観測を開始したと発表しました。浮体・係留システムは日本海事協会の船級検査を完了しています。風車を搭載しない5分の1模型で、将来の15MW級風車用浮体を想定した施工性と構造性能を検証します。
緊張係留で動揺と占有海域を抑制
TLP型は海底アンカーと浮体をテンドンと呼ぶ係留材で緊張状態につなぎ、浮力を利用して位置を保持します。カテナリー係留のスパー型やセミサブ型より浮体の動揺が小さく、発電効率を高めやすいほか、係留索が広がらないため占有海域を抑え、漁業への影響を小さくできる可能性があります。浮体には鉄筋コンクリートと鋼製部材のハイブリッド構造、テンドンには低クリープ高強度合成繊維ロープを採用し、量産性とコスト低減も検証します。
独自施工法を実波浪下で確認
TLPは設置途中に不安定になりやすいことが課題ですが、大林組は大型専用船を使わず浮体の安定を保つ独自工法を開発しました。2024年7月から2025年7月まで、実際の波浪下で動揺安定性、係留材の張力変化、コンクリート浮体の水密性と耐用性を観測します。次段階では風車を搭載した実海域実証へ進み、2030年以降の社会実装を目指します。日本の深い沿岸海域へ洋上風力を広げるには、施工の再現性、保守アクセス、台風・地震への耐性、漁業との共存を一体で確立できるかが焦点です。