中国・南京大学の曹若臣氏、張永光氏とスペインの共同研究チームは、樹種が豊富な森林ほど光合成量が多いだけでなく、その長期的な増加幅も大きいとする研究結果を発表しました。研究成果は2026年7月27日、学術誌Nature Climate Changeに掲載されました。
衛星データと実地調査を統合した世界規模の分析
研究チームは、樹種の豊富さを示す高解像度データと、人工衛星による太陽光誘起クロロフィル蛍光(SIF)などの光合成の代理指標を統合し、樹種の豊富さが光合成の現在の水準だけでなく、時間経過に伴う増加幅とも相関することを明らかにしました。ただし、確認されたのは樹種数と光合成量およびその長期的増加との統計的な関係であり、樹種数の増加が光合成量の増加を直接引き起こすという因果関係を立証したものではないとしています。両氏は2025年にも同様の手法を用い、樹種多様性が世界の森林の光合成能力を高める重要な決定因子であることを示す論文をNature Plants誌に発表しており、その効果は熱帯・亜熱帯地域で最も顕著で、寒帯の高緯度地域では相対的に弱いとしています。
生物多様性の喪失で炭素吸収量が最大35.7ペタグラム減少の恐れ
今回の論文によると、2050年までの生物多様性の喪失により、世界の森林における累積光合成量が炭素換算で4.4から35.7ペタグラム減少する可能性があるとしています。日本の報道では、この生物多様性の低下が森林の光合成量の増加傾向を3%から17%押し下げるとも伝えられています。研究チームは、樹種の多様性を維持することが森林の炭素吸収機能を将来にわたって保つうえで重要な要素であると位置付けています。両氏らはこれまでの研究で、樹種の多様性が光合成を高めるのは生育期間の延長によるものではなく、森林の最大光合成能力そのものを引き上げる効果が主因であることも明らかにしており、今回の成果は世界の森林資源管理や生物多様性保全、炭素吸収ポテンシャルの評価に活用できる観測的根拠になるとしています。
出典:Tree species richness relates to long-term forest photosynthesis increase