【永久凍土研究】北方林の樹冠、土壌炭素約590億トンを保護と初定量化

フンボルト大学ベルリン、アルフレッド・ウェゲナー極地海洋研究所(AWI)、オスロ大学、フリーエ大学アムステルダムの国際研究チームは、北方林(タイガ)の樹冠が地表を日陰にすることで永久凍土の融解を抑え、連続永久凍土地域全体で土壌炭素約59ペタグラム(約590億トン)を凍結状態に維持しているとの研究結果を発表しました。研究成果は学術誌Nature Climate Changeに掲載されています。

樹冠の日陰効果を初めて定量化

これまで北方林の気候価値は主に樹木バイオマス中の炭素量で評価されてきましたが、地下の永久凍土を断熱・保護する生態系サービスはほとんど注目されてきませんでした。研究チームは連続永久凍土地域の16の生気候区分について、森林の有無による地表の熱収支を衛星データと既存の炭素蓄積量のメタ分析を組み合わせて比較しました。その結果、森林に覆われた地表は開けた地表に比べて夏季の融解深度が50〜62%浅く、平均で約1メートルの差があることが判明しました。

森林喪失で数千年分の炭素が放出のリスクに

論文の筆頭著者でフンボルト大学ベルリン地理学研究所研究員(AWI客員研究員兼務)のシモーネ・マリア・シュテュンツィ氏は「北方林が提供する最も重要な気候サービスの一つは木々の下にある。樹冠は永久凍土を冷たく保ち、樹木自体に蓄えられた炭素をはるかに上回る炭素貯蔵を保全している」と述べています。森林が失われると地表の断熱効果がなくなり、最大40ペタグラムの炭素が微生物分解により漸進的に放出されるほか、氷を多く含む土壌では急速な地盤崩落(サーモカルスト)により約19ペタグラムが急激に放出されるおそれがあるとしています。この炭素の多くは最終氷期以降、数千年かけて蓄積されたものであり、一度失われれば人間の時間スケールでは回復できないと研究チームは指摘しており、森林伐採や山火事などによる北方林の損失を防ぐことが気候変動対策上、極めて重要な課題であるとしています。

出典:Taiga Forests Protect Permafrost Soils

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