石油元売り3社、四半期利益好調。電力市場では再エネ・蓄電池投資を本格化

ENEOSホールディングス出光興産コスモエネルギーホールディングスの2026年度第1四半期決算が出そろいました。3社とも中東情勢の緊迫化に伴う原油価格上昇や、安値で調達した原油が遅れて到着する「正のタイムラグ」が利益を押し上げました。

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3社そろって利益が急拡大

ENEOSは売上高3兆4078億円、営業利益4826億円、最終利益4150億円。出光は売上収益2兆2718億円、営業利益3075億円、最終利益2175億円、コスモは売上高7616億円、経常利益1330億円、最終利益840億円でした。ENEOS決算資料出光興産決算資料コスモ決算資料

ただし、ENEOSと出光、コスモはいずれも通期予想を据え置きました。第1四半期だけで通期最終利益予想に達するか上回っていますが、第2四半期以降は油価上昇後に調達した原油が到着し、タイムラグが逆回転する可能性があります。投資家は表面上の増益率より、在庫影響を除いた実質利益を見る必要があります。

ENEOS、顧客設備を束ねるVPPへ

最大手ENEOSの強みは、製油所、発電所、再エネ電源、電力小売り、法人・家庭顧客を一体で持つことです。ENEOS Powerはパナソニックと、家庭100軒、法人20軒の蓄電池、給湯機、空調、照明を遠隔制御する実証を進めています。EVの充電時間を市場価格に応じて動かすサービスも検証し、「ENEOSでんき」の顧客設備を発電所のように束ねるVPP事業を狙います。

出光、蓄電池を自ら市場運用

出光は旧兵庫製油所跡地で、出力15MW、容量48MWhの姫路蓄電所を稼働させました。51%を出資し、充放電の運用、卸電力市場などでの取引、保守まで担います。自治体・企業向けには太陽光、EV、蓄電池、空調を一括制御するEMSを提供し、宮崎県国富町役場の実証では契約電力を約16%削減しました。石油販売拠点を、分散型電源と需要を制御する地域エネルギー拠点へ変える構想です。

もっとも、電力・再生可能エネルギー部門は発電所トラブルなどで13億円の赤字でした。新事業の技術力と、実際に利益を生む力は分けて評価すべきでしょう。

コスモ、SS跡地を「調整力拠点」に

コスモは陸上・洋上風力と法人向けPPAに加え、長崎県松浦市と仙台市のSS跡地に、それぞれ2MW/8MWhの系統用蓄電所を建設します。自社EMSで充放電を最適化し、コスモエネルギーソリューションズが卸電力、需給調整、容量の各市場で取引します。SS跡地を活用した蓄電所計画は、全国の石油流通資産を電力インフラへ転換する試みです。

「油を売る会社」から「電力を動かす会社」へ

3社の競争は、再エネを保有するだけの段階から、発電、蓄電、需給管理、市場取引、小売りを取り込む「電力サプライチェーンの総取り」へ移っています。競合は同業他社だけではありません。JERAや電力大手、都市ガス会社、専業アグリゲーターとも事業領域が重なります。

投資家が見るべきは、原油高による一時的な利益ではなく、①在庫影響を除く本業収益、②再エネ・電力部門の黒字化、③蓄電池と顧客設備から得る継続収益、④大型投資を中止・選別できる規律です。製油所、SS、顧客基盤という既存資産は大きな武器ですが、蓄電池の価格差収益縮小、建設費上昇、制度変更も無視できません。石油で稼いだ資金を、どの会社が最も効率よく「制御できる電力」へ変えられるかが、次の企業価値を左右します。

出典

ENEOSホールディングス「決算資料」

出光興産「2026年度第1四半期決算」

コスモエネルギーホールディングス「2026年度第1四半期決算説明資料」

ENEOS Power「VPP事業」

出光興産「姫路蓄電所」

コスモエネルギーホールディングス「SS跡地を活用した蓄電所計画」

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