ニューサウスウェールズ(NSW)州の送電事業者トランスグリッド(Transgrid)は2025年7月15日、同州の電力系統強化に向けた「プロジェクト評価結論報告書(PACR)」を公表しました。同社は3年間にわたり100件超の候補案を検討し、石炭火力発電所の退役が進む中でも系統の安定運用を確保するための最終的な解決策の組み合わせを確定しました。トランスグリッドのネットワーク担当エグゼクティブ・ゼネラルマネージャー代理を務めるジェイソン・クルスタノスキ氏は、「NSW州の系統はこれまで石炭火力発電機が副次的に提供する慣性・電圧支持力に依存してきたが、今後10年間で州内石炭火力容量の80%が退役するため、この心臓の鼓動を維持する対策が急務だ」と述べました。
同報告書では、基幹送電網に10基の同期調相機を新設するほか、17基の同期調相機に相当する強度を持つ500万kW規模のグリッドフォーミング電池、既存同期発電機65万kW分の同期調相機モードへの改修などを組み合わせた計画を採用。ニューイングランドおよびハンター・セントラルコースト再生可能エネルギーゾーン向けの追加対策も盛り込みました。同社はこの計画により2035年までに88億豪ドルの市場便益が見込まれるとし、同期調相機の展開前倒しによりさらに12億豪ドルの追加便益が得られる可能性があるとして、現在は加速策を検討中です。本計画は、州内の系統を最大100%瞬間再生可能エネルギーで安全に運用できるようにする10年間の「システムセキュリティ・ロードマップ」の一環に位置付けられ、豪エネルギー市場運用者(AEMO)が定める新基準への対応期限である2025年12月2日に向けた取り組みでもあります。