【SDGs疲れ】ESG・SDGs分野でのキャリア形成に未来はあるか?

企業の間でSDGsへの取り組みが、統計を取り始めて以来はじめて足踏みを見せています。

帝国データバンクの調査によれば、何らかのSDGs目標に力を入れている企業の割合は72.0%で、前年の73.2%から1.2ポイント低下しました。

2020年の57.3%から右肩上がりを続けてきた指標が、初めて下降に転じたことになります。大企業は81.5%(前年比2.0ポイント低下)、中小企業は70.4%(同1.0ポイント低下)と、規模を問わず勢いが鈍っています。

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こうした中で、若い世代の環境への意識はむしろ高まっています。博報堂の「生活者のサステナブル購買行動調査2025」では、SDGsの内容を知っていると答えた10代は80.6%(前年比6.1ポイント上昇)、20代は51.1%(同3.2ポイント上昇)でした。

一方で、同じ調査で、10代・20代の4割以上が「社会・環境問題に取り組むことに疲れを感じる」と答えており、関心の高さと疲労感が同居する状態が浮かび上がっています。

構造的な人材不足は、景気やムードとは別の話

この足踏みムードとは裏腹に、産業構造の転換を支える人材の不足は解消されていません。経済産業省は2023年5月のGX推進法成立以降、10年間で20兆円規模の支援と、2026年度からの排出量取引制度の本格稼働を通じて脱炭素と経済成長の両立を進めており、この変化を支えるいわゆる「GX人材」の不足が企業側から指摘されていると発表しています。

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制度は動き出しているのに、それを担う人が追いついていないという構図です。

つまり今起きているのは、関心の低下ではなく「一次ブームの沈静化」と「実務人材の不足」が同時に進んでいるという、やや複雑な局面です。SNS的な盛り上がりが一段落したからといって、この分野の実務ニーズが縮んでいるわけではありません。

AI時代こそ、現場を知る人の価値が上がる

ここに、進学や就職を考える人にとってのチャンスがあります。CO2排出量の算定、非財務情報の開示、サプライチェーン管理といった業務は、生成AIやデータ基盤の整備が進むほど、入力データの正しさや、現場の設備・許認可・契約条件を理解した上での判断が重要になります。数値を扱うだけの仕事はツールに置き換えられやすい一方、現場・現実・現物を踏まえて数字の意味を読める人材は、むしろ希少性が上がっていくと考えられます。

高校生・大学生・若手社会人がとるべき視点

進学先を選ぶ高校生は、学部名の新旧よりも、その先で何を専門に扱えるようになるかを見るとよいでしょう。エネルギー、資源循環、人的資本、金融のどこに軸足を置くかで、卒業後に接続できる業界は大きく変わります。

就職先を考える大学生は、企業の環境面だけでなく、労働環境や人材育成の仕組みまで含めて見る視点を持つと判断がぶれにくくなります。ESGという言葉は環境(E)だけでなく、社会(S)・企業統治(G)を含む概念であり、どれか一つだけを見て会社を評価するのは危険だともいえるでしょう。

脱炭素や資源循環の実務経験、あるいは非財務情報の開示に関わった経験そのものが、今後数年で市場価値を持つキャリア資産になっていく可能性があります。SDGsという言葉への一時的な疲れと、この分野で積み上がる専門性の価値は、分けて考える必要があるでしょう。

出典:SDGsに関する企業の意識調査(2026年)|株式会社帝国データバンク

生活者のサステナブル購買行動調査2025|株式会社博報堂

GX関連企業における人材確保に関する取組事例集|経済産業省

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