ドイツのカタリーナ・ライヒェ経済・エネルギー相は2025年11月3日、ベルリンでの産業界向け会合で、産業用電気料金に上限を設ける「産業電力価格(Industriestrompreis)」制度を2026年1月から導入する見通しを示しました。ドイツの大口需要家の平均電気料金は2020年の1kWh当たり約6セントから2025年には約11セントへ上昇しており、価格高止まりが産業競争力を損なう懸念材料となっていました。制度はEUの新産業協定に基づく国家補助枠組み(CISAF)を根拠とし、卸電力価格を基準に1kWh当たり5セントを目標価格とし、企業の電力消費量の最大50%を補助対象とする案が検討されていました。ドイツエネルギー機関(dena)やシンクタンクのEpico Klima-InnovationおよびAgora Energiewendeも、約2,000社のエネルギー多消費型企業に同水準の固定電気料金を適用する構想を提案しており、政府の財政負担は年間15億ユーロ規模になるとみられていました。
EU欧州委員会が2026年4月に正式承認
その後2026年4月16日、欧州委員会はこの産業電力価格制度を国家補助規則上承認し、2026~2028年の3年間にわたり実施されることが正式に決まりました。対象は化学、ゴム・プラスチック製品、ガラス、半導体製造など91業種の電力・貿易集約型企業で、数千社規模が恩恵を受ける見通しです。ライヒェ経済・エネルギー相は「初めて産業電力価格の枠組みを実現できた。ドイツにとって重要な電力多消費産業を支える大きな成果だ」と述べました。申請手続きは連邦経済輸出管理庁(BAFA)が所管し、2027年初めに2026年分を遡って一括申請する仕組みとなる見通しです。