送配電網協議会は、2026年7月30日、第35回電力安全小委員会で、送配電設備の施工力を維持するため、AI(人工知能)やロボットなどの新技術へ積極投資する方針を発表しました。現場作業の省力化・省人化を進め、安全性を高めながら従業員の業務負担を軽減し、人材の確保・定着につなげます。
送配電工事では、設備の更新に加え、再生可能エネルギーの系統接続や電力需要の変化に対応する工事が必要です。一方、工事を担う技術者や技能者の不足が深刻化しており、一般送配電事業者10社が従来と同じ人員・施工方法で必要な工事量を確保し続けることは難しくなっています。
AI・ロボットで現場作業を変革
送配協は、AIによる点検・判断支援や、ロボット技術を使った作業の自動化・遠隔化を通じ、現場の生産性を引き上げる考えです。高所、狭所、重量物を扱う工程などで機械化が進めば、作業員の身体的負担や労働災害リスクを減らせる可能性があります。熟練者の判断や作業ノウハウをデータ化し、若手への技能継承を補完する効果も見込まれます。
ただし、新技術の導入には、安全性と信頼性の検証、既存設備との適合、作業手順の見直し、現場要員の教育が欠かせません。送配協は、必要な技術を獲得するための投資を進め、単なる人員削減ではなく、限られた人材で工事・保守を継続できる体制へ転換するとしています。
系統増強を支える施工力が課題
再エネ電源やデータセンターの接続拡大には、送電線、変電所、配電線などの新増設・更新が必要です。AI・ロボットによる施工力向上が実現しなければ、系統接続工事の長期化や設備更新の遅れが、電力安定供給や再エネ導入の制約となる恐れがあります。
今後は、各技術の導入工程、投資規模、生産性向上効果、安全性の評価方法が焦点です。送配電会社だけでなく、電気工事会社、設備メーカー、ロボット・AI事業者を含めた共同開発と標準化も重要になります。