東北電力ネットワークは、2026年7月31日、青森県の上北変電所および岩手県の岩手変電所において、STATCOM(自励式静止型無効電力補償装置)の設置工事を開始したと発表しました。
東北北部エリアでは、風力発電を中心とした再生可能エネルギー電源の導入が急速に進んでおり、同社は再エネの最大限活用に向けて、より多くの電力を東北南部や首都圏などの大規模需要地へ送電するための送変電設備の増強に取り組んでいます。
一方で、送電線を流れる電力が増加すると、送電線で事故が発生した際に電力系統における電圧の変動が大きくなり、系統の安定運用に深刻な影響を及ぼすおそれがあります。そのため、複雑化する系統管理において、電圧の安定性向上を図るための対策が急務となっています。
STATCOMの役割と導入の背景
STATCOM(STAtic Synchronous COMpensator)とは、電力系統における電圧の変化を瞬時に検知し、無効電力の出力を高速かつ精密に制御することで、系統電圧を適正な状態に保つ装置です。系統電圧の回復に必要な電力を迅速に供給し、事故発生時でも速やかに系統の電圧を回復させる役割を果たします。
今回の設置は同社管内で初となるほか、導入される設備はいずれも世界最大級の設備容量を誇ります。具体的には、青森県上北郡七戸町の上北変電所には±800MVA(メーカー:株式会社東芝、設置面積:約12,900㎡)、岩手県盛岡市の岩手変電所には±700MVA(メーカー:三菱電機株式会社、設置面積:約11,600㎡)のSTATCOMが設置される予定です。
2031年の運用開始に向けた展望
本工事は、電力広域的運営推進機関が主宰する「東北北部エリア電源接続案件募集プロセス」に基づく送変電設備工事の一環として実施されるものです。
同社は、2031年12月の使用開始に向けて、工事における安全確保を徹底するとともに、騒音や振動などの環境保全対策を実施したうえで作業を進め、周辺環境に配慮した設備形成に努めていくとしています。